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AIエージェントの記憶を、Gitリポジトリとして持ち運べるようになった

Devinのメモリ機能は、学んだことをGitリポジトリに記録する。Cognitionは保存形式をAgent Memory Repoという名前でオープン仕様として公開し、Claude CodeやCursorでも試せる。

イメージ写真。ノートパソコンの画面に表示されたコードと、キーボードに置かれた手元の接写。

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Lukas Blazek on Pexels

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前の日にAIエージェントへ「このプロジェクトはbunを使う」と伝えたのに、次のセッションではまたnpmのコマンドを提案されて、同じ注意を繰り返す。コーディングエージェントを毎日使っている人なら、覚えがある場面だろう。コーディングエージェントDevinを作るCognitionは2026年10月5日(米国時間)、この繰り返しを減らすメモリ機能を自社のエージェントに加えた。あわせて、その保存形式を誰でも使えるオープン仕様として公開している。

新しいMemoryで何が変わるのか

同じ説明を繰り返させられるのは、エージェントが会話の外に記憶を持たないからだ。Devin公式ブログによると、新しく加わったMemory機能は、会話の要約ではなく「学んだこと」を短いノートとして保持する。公式ブログが挙げる例はこうだ。

  • 使っているパッケージマネージャーがbunであること
  • 技術スタックがNextJSとTypeScriptであること
  • スタイリングにTailwindを使う方針
  • APIの変更をリリースする順序

どれも一度説明すれば、次のセッションから前提として扱われる。ノートには学習元のセッションへのリンクが添えられる。複数のセッションが同時に同じ前提を書き換えようとした場合も、黙って上書きされることはない。そのときは確認を求める形で提示される。

ここまでは機能の説明だが、気になるのはその先だ。このメモリは、実際にはどこにどういう形で保存されているのか。

メモリの実体はなぜGitリポジトリなのか

Devinはこのノートを、「メモリドライブ」と呼ぶ個人用の置き場にためていく。公式ブログによれば、メモリドライブの正体は、Markdownファイルを集めた永続的なGitリポジトリだ。セッションが始まると、DevinはそのルートにあるMEMORY.mdをまず読み込み、必要なら他のノートも同じツールで検索・参照する。

公開されている仕様を見ると、1件のノートは次のような1行のMarkdownで書かれている。

- Joe leads the product team [source: https://example.com/sessions/100]

文の末尾に、どのセッションで学んだか(source)、いつ追加したか(added)をメタデータとして付けられる。ノート同士は[[path]]という書き方でつなげられ、MEMORY.mdを起点に、他のファイルへウィキのようにたどっていける構成だ。

自分はここで一度止まった。なぜこれをただのテキストファイルではなく、わざわざGitリポジトリにするのか。答えは、複数のセッションや複数のエージェントが同時に書き込む場面にある。Gitが元から持っている仕組みを、そのままメモリの管理に使えるからだ。

  • 履歴: 誰が・いつ・何を学んだかを、あとから遡れる
  • マージ: 複数の書き込みを、記録を保ったまま一本化できる
  • 競合検出: 同時に同じ箇所を書き換えようとしたときに気づける

排他制御やマージ処理を自分で組む必要がない。学習した内容は、どのセッションで得られたかまで遡れる記録として積み重なっていく。

Gitリポジトリにしたことで、複数のメモリを重ねて読み込めるようにもなっている。仕様は、1つのセッションに複数のメモリリポジトリを同時に読み込める構成を挙げている。個人用のメモリとチーム用のメモリを両方読み込めば、自分の好みとチームの取り決めを両方踏まえた提案になる。並行して動く複数のエージェントが同じメモリリポジトリへ書き込む使い方もできる。その場合、1つのエージェントが見つけたことを他のエージェントも参照できる。1つのファイルに全部を詰め込むのではなく、Gitリポジトリという単位を積み重ねていく設計になっている。

Dreamingは何をしているのか

ノートがたまるほど、重複や古い情報も増えていく。この整理を担うのが、公式ブログが「Dreaming」と呼ぶ日次の非同期処理だ。セッション中に生まれたノートを重複排除し、関連するセッションやアーティファクトへリンクを張り直し、個々のノートからは見えていなかった新しいパターンを表に出す。メモリの閲覧は「Customize → Memory」から行え、記録は組織に属しながらも個人に紐づく。

ここまでは、Devinというツールの中の話だ。この仕組みはDevinでしか使えないのか、それとも他のエージェントでも試せるのか。

他のエージェントでも試せるのか

答えはここにある。Cognitionは、Devinのメモリシステムを組み立てるのに使った標準そのものを「Agent Memory Repo」という名前のオープン仕様として切り出した。公式ページで公開している。仕様の実体はGitHubにあり、MITライセンスで公開されている。ここまで説明したMEMORY.md・1行ノート・[[path]]のクロスリンクは、このリポジトリに定義された仕様そのものだ。

ただし、このGitHubリポジトリのREADMEを読んでも、「Claude Code」や「Cursor」という名前は出てこない。導入は、汎用のスキル導入ツール「skills」(antfu/skills-cli)を介する設計になっている。このツールは、Agent Memory Repoのリポジトリに含まれるskills/agent-memory-repoというフォルダを見つける。そこにある指示書(SKILL.md)を、使っているエージェント向けのスキルとしてインストールする。

skills-cliのREADMEには、対応エージェントの名前と、ツールごとのインストール先が並ぶ。

  • 対応エージェント: OpenCode、Claude Code、Codex、Cursorなど33種
  • Claude Codeのインストール先: プロジェクト内の.claude/skills/
  • Cursorのインストール先: .cursor/skills/

この「スキル」という仕組み自体は、エージェントに手順を教えるための別の共通仕様(Agent Skills)に基づく。Dockerの公式スキル集もこの仕様を使っている。スキルという仕組みが繰り返し使える手順を追加するための枠組みだとすれば、Agent Memory Repoは、その枠組みを使って配布されるコンテンツの一つにあたる。

つまりAgent Memory Repoという保存形式自体は、Devinを使っていなくても読める。Claude CodeやCursorで対応するスキルを入れれば、同じMEMORY.md・同じ1行ノートの形式が使える。学習内容を、自分のGitリポジトリに書き残せるようになる。

まとめ

2026年10月5日(米国時間)、CognitionはコーディングエージェントDevinに、セッションを超えて学びを持ち越すMemory機能を加えた。保存先は「メモリドライブ」と呼ぶGitリポジトリで、1行のノートがソースと日付を添えて積み重なり、日次の「Dreaming」が重複や古い記録を整理する。この保存形式は「Agent Memory Repo」という名前でオープン仕様として切り出され、MITライセンスでGitHub公開された。Devinだけの機能ではなく、Claude CodeやCursorでも、対応するスキル導入の仕組みを使えば同じ形式を試せる。

自分が使っているエージェントがこの仕様に対応しているかどうかは、skills-cliの対応エージェント一覧で確認できる。

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