AIチャットを使い、コードもAIに手伝ってもらい、SNSの有料会員にもなっている人は、気づけば毎月3枚の請求書を別々の会社へ払っていることになる。内訳はAIチャットのGrok(SuperGrok、月30ドル)、コーディング支援のCursor(Pro、月20ドル)、SNSのX Premium+(月40ドル)だ。xAIは2026年10月12日、この3つを1つの月額プランにまとめると発表した。新しいプラン名は「The X Subscription」で、3つをまとめても月30ドルで済む。
合計90ドルが30ドルになる
新プラン「Premium」は月30ドルだ。xAIの発表によると、ここには従来SuperGrok・Cursor Pro・X Premium+を別々に契約した場合の特典がすべて含まれる。発表文はこれを「以前は合計で月90ドルかかっていたものだ」と説明している。
90ドルという合計額自体は公式発表に明記されている。だが内訳(SuperGrok 30ドル・Cursor Pro 20ドル・X Premium+ 40ドル)はxAIの発表文には出てこない。3つの公式料金ページを突き合わせて計算すると30+20+40=90になり、発表文の合計額と一致した。3つ全部を使っている読者ほど、今回の統合で払う額が小さくなる計算だ。
もっとも、Premiumより下にはPlus(月8ドル)とFree(無料)もあり、利用量が少ない読者は無理にPremiumへ上げる必要はない。上位にはSuper(月100ドル)・Ultra(月200ドル)もある。利用枠はPlusを基準に、Premiumが4倍、Superが15倍、Ultraが50倍という段階になっている。金額だけを見れば分かりやすい話に見える。だが自分には、そもそもSNSの有料会員とAIコーディングツールが同じプランに入っていること自体、よく考えると妙に映った。
なぜ同じプランにまとまるのか
X Premium+はタイムラインの広告を消したり認証マークを付けたりする、SNSの会員権だ。Cursorはコードを書くための開発者向けツールで、使う人も場面もまったく違う。この2つと、AIチャットのGrokが、なぜ同じ料金プランの中に収まっているのか。
xAIの発表は、Grok・Grok Bot・Cursor・Xの4つを束ねる「初めての1つのAIサブスクリプション」と位置づけている。考えて、作って、共有するまでを1つのプランで支えるという説明だ。Grok Botは今回新しく名前が出た、仕事を任せられるAIチームメイトの位置づけの機能で、詳細はこの記事では扱わない。ポイントは利用枠の方だ。有料プランでは、GrokのAIモデルを使う枠がGrokアプリ・XのGrokタブ・Cursorの間で共有される。チャットでもコーディングでも、同じ利用枠を取り合う形になっている。
仕組みの上で枠が共有されているのは分かった。だが、運営している会社がバラバラなら、料金プランを1つにまとめる理由としてはまだ弱い。実際のところ、この3つを運営している会社は今でも別々なのだろうか。
3つはいつから同じ会社だったのか
答えは、もう別々ではなかった。2026年のうちに、Grok・Cursor・Xは合併と買収を経て、同じ会社の傘下に収まっていた。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月 | SpaceXとxAI(X・Grokの運営元)が合併したと報道される(5月6日に完了) |
| 2026年8月14日 | SpaceXがCursorの運営会社Anysphereを買収したと公式発表 |
| 2026年10月12日 | xAIがGrok・Cursor・X Premiumを1つのサブスクリプションに統合すると発表 |
2月、xAIがSpaceXと一つになった
2月の出来事は、海外メディアTechzineの報道によると、SpaceXが2026年2月にxAIと合併し、5月6日に完了したという。SpaceXとxAIの当事者自身による一次発表そのものには自分はたどり着けなかったため、この合併の評価額や取引形態は「報道によると」の範囲で扱う。
8月、Cursorも同じ傘下に入った
8月の出来事ははっきりしている。Cursorの公式ブログは「Cursorは正式にSpaceXに買収された」と明記している。公式ブログ自体に買収金額の記載はないが、4月に発表していたモデル学習加速のパートナーシップの延長として、この買収に至ったと説明されている。Techzineの報道では、買収額は約600億ドル規模とされる。
実際、Cursorの公式料金ページを見ると、かつての「Pro」というプラン名はすでに消えている。代わりに並ぶのは、Free・Plus・Premium・Super・UltraというxAI側と同じプラン名だ。
つまり、2月にGrokとXの運営元であるxAIがSpaceXの傘下に入り、8月にCursorの運営元Anysphereも同じSpaceXの傘下に入った。10月のサブスクリプション統合は、3社の間にあった会社としての境界線が先に消えたあとに、料金表がそれへ追いついた結果だ。SNSの会員権とコーディングツールが同じプランに入っていたのは、仕組みの設計である以前に、運営している会社がすでに1つになっていたからだった。
会社の線引きが消えたことは分かった。では、読者が実際にこのプランへ入ると、利用枠や機能はどう変わるのか。
プランで何が変わるのか
Cursorでのコーディング利用量は、The X Subscriptionの各プランで、同等のCursor単体プランの少なくとも2倍含まれる。Grokモデルを使う処理という意味では、Cursorでコードを書いてもGrokアプリで雑談しても、同じ1つの枠から消費される。
| プラン | 月額 | 含まれるもの | 利用枠(Plus比) |
|---|---|---|---|
| Free | 0ドル | Grokの日次利用、Cursorの入門枠、標準のX | 限定的 |
| Plus | 8ドル | Grok・Cursorの利用量増加、Xのチェックマーク・広告削減 | 基準(1倍) |
| Premium | 30ドル | SuperGrok・Cursor Pro・X Premium+の特典(旧合計90ドル) | 4倍 |
| Super | 100ドル | Premiumの全機能 | 15倍 |
| Ultra | 200ドル | Premiumの全機能 | 50倍 |
(xAI公式発表の記載をもとに作成)
Free・Plusの「限定的」「基準」が具体的に何回・何トークンまでを指すのかは、公式発表にも料金ページ案内以上の具体的な数値はなかった。すでにPlus相当で足りている読者は、この数値が明らかになるまで様子を見てもよい。
Cursorの中でOpenAIやAnthropicなど他社のAIモデルを使う場合は、Premium以上でも引き続き利用できる。ただし枠を超えた分は、APIの定価でトップアップ課金される。Grok以外のモデルを主に使っている開発者は、定額に含まれる範囲が自分の使い方と合うかを確認してから切り替えたほうがいい。
既存のSuperGrok・Cursor・X Premiumの契約者は、何もしなければ今の料金とプランのまま使い続けられる。自動的にThe X Subscriptionへ移されることはない。切り替えたい場合だけ任意で申し込め、その時点で旧プランの未使用分は日割りで返金される。
まとめ
xAIは2026年10月12日、AIチャットのGrok、コーディング支援のCursor、SNSのX Premiumを1つの月額プランに統合すると発表した。新プラン名は「The X Subscription」。3つを別々に契約すると合計で月90ドルかかっていたところを、Premiumプラン月30ドルにまとめられる。
SNSの会員権とコーディングツールが同じプランに入っている理由は、2つの企業イベントにある。2026年2月にGrok・Xの運営元xAIがSpaceXの傘下に入り、8月にはCursorの運営元AnysphereもSpaceXに買収された。3社の間の境界線は、サブスクリプションが統合される前にすでに消えていた。
既存の契約者は自動では移行されず、今のプランを維持するか任意で切り替えるかを選べる。Free・Plusプランの具体的な利用量上限や、地域ごとの提供条件は公式発表にまだ記載がなく、今後の案内を待つ必要がある。
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