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FLUX 3 Image Kleinが無料公開、自分のPCでも動く画像生成AIに

Black Forest Labsが画像生成AI「FLUX 3 Image Klein」をオープンウェイトで公開。前世代より4割近く小さいのに自己評価では上回り、家庭用GPUでも実用速度で動く。

暗い背景の中、グラフィックボードを片手で持ち上げている様子

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Valentin Ivantsov on Pexels

この記事には Amazon アソシエイトのリンクを含みます。

画像生成AIでSNS用の画像を試作するたび、1枚ごとの料金やネット接続を気にしていないだろうか。本サイトでも10月に扱ったBlack Forest Labsの「FLUX 3 Image」は、そうした悩みに関わる便利なモデルだった。商品写真を組み合わせて1枚にまとめたり、文字やロゴの位置を座標で指定できたりする。だが提供はAPIを使う有料サービスだけで、自分のPCにウェイトを持ち帰ることはできなかった。

2026年10月15日、同じFLUX 3 Imageの仲間として「FLUX 3 Image Klein」が公開された(公式ブログ)。今回はオープンウェイトで、条件を満たせば無料で使え、家庭用GPUでも動く。しかも前世代より小さくなったモデルなのに、自己評価のスコアは前世代を上回っているという。

無料で自分のPCに持ち帰れる

FLUX 3 Image Kleinは、FLUX Kommunity Licenseというライセンスのもとで公開されている。年間売上500万ドル未満の個人・企業であれば、商用利用を含めて無償で使える条件だ。個人の制作や小規模な開発であれば、まず料金を気にせず試せる規模感になる。それを超える売上がある企業は、自社ホスティング向けのライセンスか、Black Forest LabsのAPIを通じて使う扱いになる。

重みはHugging Faceで配布されている。ComfyUIやHugging Face Diffusers、TensorRT-LLMなど複数のツールが、公開当日からすでに対応していた(公式ブログ)。

公開されるのは2種類ある。1つは低遅延の生成に向けた「蒸留(step-distilled)モデル」で、APIで提供されるのもこちらだ。もう1つは、ファインチューニング向けの「Baseモデル」だ。公開当日から、DiffusersやOstrisのAI Toolkit、NVIDIA NeMo AutoModelでLoRA学習に対応している(公式ブログ)。自分の作風に寄せて追加学習したい人はBase、すぐに画像を作りたい人は蒸留モデルを選ぶ形になる。

では、自分のPCで実際にどれくらいの速さで動くのか。

家庭用GPUでも1枚10秒かからない

公式モデルページによると、INT8に量子化した版は、VRAM 8GBクラスのNVIDIA GeForce RTX GPUで動く。ComfyUIでの計測では、1024×1024ピクセルの画像を16ステップで生成する場合、生成時間はRTX 5090で約4秒だった。ミドルクラスのRTX 4070でも9秒未満だったという(公式ブログ)。

0246810秒RTX 5090: 約4秒RTX 4070: 9秒未満約4秒9秒未満RTX 5090RTX 4070

このグラフは、Black Forest Labsが公式ブログで示したComfyUI上の計測値だ(公式ブログ)。最上位のRTX 5090でなくても、1枚10秒かからないなら、SNS用の画像を何パターンか試すくらいの用途には十分な速さといえる。

これはあくまで、API提供にも使われる蒸留モデルの数字だ。ファインチューニング向けのBaseモデル(50ステップ)は、データセンター向けの大型アクセラレータGB300やDGX Stationで1.7秒かかる。同じくNVIDIAのDGX Sparkでは43.8秒かかるという(公式ブログ)。いずれも家庭用GPUの消費電力とはケタが違う機材での数字であり、Baseモデルをそのまま家庭用GPUで快適に動かせるとは言えない。

ここで気になるのは、この速さが「蒸留モデル」という、いわば的を絞った作り方によるものだという点だ。蒸留モデルは生成のステップ数を減らして速くする代わりに、学習のし直し(ファインチューニング)には向かない。そのぶんをBaseモデルが引き受ける、という役割分担になっている。

この役割分担を踏まえると、次に気になるのは画質や精度が本当に落ちていないのかという点だ。

小型化しても性能は上回った

自分は、蒸留モデルは速さと引き換えに性能を落とすものだと思っていた。ところが公式ブログが示す自己評価では、話が逆だった。

前世代の「FLUX.2 [klein] 9B」と比べると、FLUX 3 Image Kleinはパラメータ数が5.6Bと38%少ない。それにもかかわらず、Black Forest Labs自身の評価では前世代を上回っている。文字生成で+91 Elo、画像編集で+70 Eloというスコア差だという(公式ブログ)。

Eloは、チェスや将棋のレーティングと同じ考え方の相対評価だ。2つのモデルが作った画像を見比べて「どちらが良いか」の判定を積み重ね、勝った側のスコアが上がっていく。数値そのものに絶対的な意味はなく、同じ物差しで測った相手との差がどれだけ開いているかを示す。

小さくなったモデルがなぜ上のスコアを出せたのか、学習方法や蒸留の具体的な工夫についてまでは公式ブログに記載がなく、確認できていない。ここでは、パラメータが4割近く減っても評価が落ちていない、という結果だけを公式の数値として受け取っておく。

公式ブログはさらに、文字生成・複数参照生成・画像編集の3部門で上位だったとも述べている。比較相手は、パラメータ数がFLUX 3 Image Kleinより大きいQwen-Image 2.1(7B)やKrea 2(12.9B)といった他社のオープンモデルだ。クローズドモデルのIdeogram V4.5やFLUX.2 [pro]よりも高評価だったという主張もある。ただしこれらも、比較の算出方法や具体的なスコアまでは公開されておらず、Black Forest Labs自身の社内評価にとどまる。他社のベンチマークのように、独立した第三者が検証した数値ではない点は踏まえておきたい。

性能の話はここまでにして、実際にどんな画像が作れるのかを見ていく。

位置を指定して画像を作る機能は引き継いだ

公式ブログが挙げる機能は、次のとおりだ。

  • テキストからの画像生成
  • 画像編集
  • 最大10枚の参照画像を使った複数参照生成
  • ネイティブ4K生成
  • バウンディングボックスによる要素の配置・編集範囲の指定

商品写真を何枚か渡して1枚のコーディネート画像にまとめるような使い方が、有料APIだけでなく自分のPC上でも試せるようになったことになる。

このうちバウンディングボックスの指定は、上位モデルのFLUX 3 Imageと共通の仕組みを引き継いでいる。座標は0から1000までの共通の目盛りで、[y_min, x_min, y_max, x_max]の形式で書く(Hugging Face公式モデルカード)。この座標の仕組みと、編集時に「触れていない部分は変わらない」という保証については、FLUX 3 Imageを扱った記事で詳しく確認している。今回のKleinでも同じ仕組みが使える。

なお、Hugging Face公式モデルカードは、生成される文字が不正確になったり歪んだりする場合があると明記している。日本語を含む特定の言語への対応について、公式ブログ・モデルページ・モデルカードのいずれにも記載がなく、確認できていない。

まとめ

FLUX 3 Image Kleinは、FLUX Kommunity Licenseのもとでオープンウェイトとして公開された。年間売上500万ドル未満なら無償で使え、重みはHugging Faceで配布されている。INT8量子化版なら、VRAM 8GBクラスの家庭用GPUでも1枚10秒かからない速さで動く。

前世代より4割近く小さいモデルでありながら、Black Forest Labs自身の評価では文字生成・画像編集のスコアが前世代を上回っているという。要素の位置を座標で指定する機能も、上位モデルのFLUX 3 Imageから引き継いでいる。APIの有料サービスでしか試せなかったFLUX 3 Imageの仲間が、自分のPCに持ち帰れる形で増えたことになる。

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