「このイベント、カレンダーに入れておいて」。日本語でSiriにそう頼んで、見当違いの返事が返ってきた経験がある人は多いはずだ。英語ではすでに使えていた新しいSiri「Siri AI」を、Appleは2026年10月26日(米国時間)、日本語を含む5言語に拡大したと発表した。画面に映っている内容を理解し、頼んだ作業を他のアプリに代わって実行する機能が、対象機種であれば今日から日本語でも動く。どの端末が対象で、「画面を見て操作する」とは具体的に何をしてくれるのか。その裏側はどんな技術でできているのか。Apple公式Newsroomの発表と、独立した2媒体の報道で確認した。
日本語のSiriで何ができるか
Appleは2026年10月26日、新しいSiri「Siri AI」の対応言語を、日本語・フランス語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語の5言語に広げたと発表した。Apple公式Newsroomによれば、提供はiOS 27.2・iPadOS 27.2など、同日公開のソフトウェアアップデートを通じて行われる。
Siri AIは、従来のSiriを置き換える新しいベースで作られている。メッセージ・メール・写真から必要な情報を探す「個人の文脈の理解」が特徴の1つだ。表示中の画面について質問したり操作したりする「画面認識」、回答への追加質問を続けられる「会話の継続」も備わった。forest.watchの報道とImpress Watchの報道は、いずれもApple公式Newsroomを出典に、同じ提供日・対応言語を伝えている。では、この機能は自分のiPhone・iPadでも使えるのか。
iPhone・iPadは対象か
機能が日本語対応しても、端末が条件を満たさなければ使えない。Appleサポート「How to get Siri AI」が挙げる対象機種は次のとおりだ。
| 対象 | 条件 |
|---|---|
| iPhone | iPhone 15 Pro以降、iPhone 16シリーズ以降、iPhone Air、iPhone Duo |
| iPad | iPad mini(A17 Pro)、M1以降を搭載したiPad |
| Mac | M1以降のMac、MacBook Neo(A18 Pro) |
| Apple Watch | Series 9以降・Ultra 2以降・SE 3(Siri AI対応iPhoneとのペアリングが必要) |
| Apple Vision Pro | すべてのモデル |
いずれもOSを27.2に上げることが前提になる。iPhoneなら15 Proより前の機種、iPadならA17 Pro・M1より古いチップの機種は、OSを更新してもSiri AIの対象には入らない。対象機種でも、デバイスとSiriの表示言語をどちらも日本語に揃えておく必要がある。端末の条件が分かったところで、次は「画面を見て操作する」が実際に何をしてくれるのかを見ていく。
画面を見て操作するとは何か
Siri AIの特徴は、頼んだ作業を他のアプリへ代わりに反映してくれる点にある。Apple公式Newsroomは、日本向けの具体例としてこう書いている。「ユーザーはSiri AIに頼んで、Yahoo!乗換案内で次のミーティング場所への経路を案内してもらったり、FirstSeedタスクでToDoリストにタスクを追加したり、Kotobaでメモを探して編集したりすることができます」。
挙げられている機能は、主に次の5つだ。
- 個人の文脈の理解: メッセージ・メール・写真から必要な情報を探す
- アプリ内アクション: 乗換案内・ToDo・メモなど対応アプリを操作する
- 画面認識: 表示中の内容について質問したり、予定に追加したりする
- ビジュアルインテリジェンス: カメラやスクリーンショットを通じて画像を理解する
- Siriで作文: 文章の下書き・校正・言い回しの提案を受ける
これまでのSiriは、頼んだアプリの中だけで完結する操作が中心だった。乗換案内で経路を調べる、ToDoにタスクを足すといった作業を、画面の内容を踏まえてアプリをまたいで頼めるようになった点が、今回の変化の中心になる。これだけの理解と操作を、Appleは何を使って実現しているのか。
その裏側はどんな技術でできているのか
画面の内容を理解し、文章を組み立て、複数のアプリを操作する。これだけの処理をAppleが独力で作り上げたモデルでやっていると、自分は最初思っていた。しかしApple公式Newsroomの発表文には、こう書かれている。「これらの新しい機能は、深く統合されたApple Intelligence体験のためにGoogleおよび同社のGeminiモデルとの連携によって独自に構築された、次世代のApple Foundation Modelによって実現します」。
スマートフォンのAI機能を巡ってしのぎを削ってきたはずの2社の名前が、Apple自身の発表文の中に並んでいるのは意外だった。画面の理解も会話の組み立ても、1つのモデルが担っている。それが、AppleがGoogleのGeminiモデルとの連携を経て独自に作り上げた「次世代のApple Foundation Model」だ。
処理の置き場所は2つに分かれる。端末の上で完結する処理と、Apple自身が運用する「Private Cloud Compute」という基盤での処理だ。Apple公式Newsroomは、個人データがApple自身を含め誰にもアクセスされないとしている。モデルの作り方ではGoogleの技術を取り込みながら、動かす場所と個人データの扱いはApple自身が管理する、という役割分担だ。技術の中身が分かったところで、今すぐ自分の端末で使えるのかを確かめたい。
今すぐ日本語で使えるか
対象機種でOSを27.2に更新すれば、[設定]の[Siri]画面を開き、使用する言語に「日本語」を選べるかで確認できる。Appleサポート「How to get Siri AI」を2026年10月27日に確認したところ、対応言語の説明はまだ「Siri AI is currently available in English」のままだった。このページの公開日は10月22日で、26日の発表より前のものだ。サポートページの文言更新が発表に追いついていないだけの可能性が高く、実際に使えるかどうかは、このページの文言よりも端末の[設定]画面の表示で確かめるほうが確実だ。
使える地域と対象年齢にも条件がある。Apple公式Newsroomによれば、EUではiOS・iPadOS・watchOSでSiri AIを利用できない。13歳未満も利用できない。サーバー側のモデルに依存する機能には1日あたりの利用回数制限があり、その上限を広げる有料プランを今後提供する計画だとしている。価格や開始時期はまだ発表されていない。
まとめ
Siri AIは2026年10月26日、日本語を含む5言語に対応を広げた。対象はiPhone 15 Pro以降・iPhone 16シリーズ以降・iPhone Air・iPhone Duo。iPadならA17 Pro搭載のiPad miniかM1以降のiPadだ。OSを27.2に更新したうえで、言語設定を日本語に揃える必要がある。
できるようになったのは、画面の内容や過去のやり取りを踏まえて、乗換案内やToDoアプリなど複数のアプリへ作業を代わりに反映することだ。その基盤には、AppleがGoogleのGeminiモデルとの連携を経て独自に作った新しいApple Foundation Modelが使われている。対象機種を持っているなら、[設定]の[Siri]画面を開いて日本語が選べるか確かめるところから始められる。
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