英語の専門書で勉強していると、知りたい答えがどの章のどのページにあるのかを探すだけで時間がかかる。1冊数千円する教科書を何冊もそろえるのも、学生にはこたえる出費だ。
Googleは2026年10月29日、AIノート「Gemini Notebook」に新機能を追加したと発表した(Google公式ブログ)。大学レベルの教科書を、無料のまま読み込ませられる機能だ。教科書を追加すると、質問への回答に教科書からの引用が付き、学習ガイドやフラッシュカードまで自動で作れる。どこまでが無料で、何が変わったのかを確かめた。
数百冊の教科書を無料で読み込める
Gemini Notebookは、自分の手元にある資料を読み込ませて質問できるAIノートだ。2026年7月まではNotebookLMという名前だった(Impress Watch)。
今回追加されたのは、ノートブックに「ソース」として教科書を加えられる新しい窓口だ。提供元は米国のOpenStax・Open Textbook Library、インドのS Chand Publishingなど。分野はコンピューターサイエンス・ビジネス・人文科学・数学・医学など幅広い。正確な冊数は公表されていないが、Google自身が「数百冊(hundreds of textbooks)」と説明している(同公式ブログ)。
使い方はシンプルだ。ノートブック内で「Add sources」を選び、「Textbooks」を選ぶと、追加できる教科書の一覧が開く。教科書を選んで加えると、次ができるようになる(同公式ブログ)。
- 質問への回答が教科書の文章に基づくようになり、該当箇所への引用とリンクが付く
- 教科書の内容から学習ガイドを作れる
- 教科書の内容から練習問題を作れる
- 教科書の内容からフラッシュカードを作れる
たとえば経済学の教科書を1冊加えたとする。「限界費用とは何か」と質問すると、その教科書の該当ページを示しながら回答が返り、ページを自分でめくって探す手間を省ける。学習ガイドやフラッシュカードも、その教科書の範囲内で作られる。
無料で、しかも購入の手続きが要らない。ここまで聞くと気前のいい話に見える。だが、Gemini Notebookに「本を読み込ませる」こと自体は、実は今回が初めてではない。
本の読み込みは購入が前提だった
Gemini Notebookには、2026年9月17日から「Expert Intelligence」という仕組みがあった。Google Play Booksで購入した対象の電子書籍を、ノートブックにソースとして追加できる機能だ。対象は主要出版社の10万冊を超える書籍にのぼる(Google Workspace Updates)。
10万冊という数字は、買った本なら読み込ませられるという話だ。無料で使える範囲の話ではない。今回の教科書追加は、この仕組みの中で唯一、購入なしで無料のまま使える部分として加わった。
| Expert Intelligence(購入した本) | 今回追加された教科書 | |
|---|---|---|
| 対象冊数 | 主要出版社の10万冊超 | 数百冊 |
| 提供元 | Google Play Booksの対象出版社 | OpenStax・Open Textbook Library・S Chand Publishingなど |
| 利用条件 | Google Play Booksでの購入が必要 | 購入不要、無料 |
| 発表日 | 2026年9月17日 | 2026年10月29日 |
(出典: Google公式ブログ、Google Workspace Updates)
この表のとおり、「10万冊」と「数百冊」には2桁以上の開きがある。自分は最初、見出しの「数百冊」をささやかな数字だと思った。だが9月の発表と並べると、印象が変わった。Gemini Notebookの中で購入なしに使えた部分は、これまでほぼゼロだった。「数百冊」は、そのゼロから増えた最初の無料枠にあたる。
では、この無料の教科書は、誰にとって使える話なのだろうか。
日本からは使えるが教材は英語
教科書機能の土台になっているExpert Intelligenceは、次のユーザーを対象にしている(同Workspace Updates)。
- Google Workspaceの顧客
- Workspace Individualの契約者
- Gemini Notebook・Google Play・Google Booksを有効にした個人のGoogleアカウント
地域を限定する記載はない。日本からの利用も確認できている。ITmedia AI+編集部が実際にGoogle Workspace環境で試したところ、「教科書」の選択画面が表示された。実際に追加できたと報じている(ITmedia AI+)。Gemini Notebook自体も2024年6月から日本語に対応している。
対象の教科書は英語で書かれている。OpenStaxは査読済みの教科書を無料公開する非営利団体だ。Open Textbook Libraryは米ミネソタ大学が運営する公開ライブラリで、どちらも教材は英語が中心になる。日本語の教科書が含まれるという情報は確認できなかった。英語の教科書を読み進める負担を減らしたい読者に向く機能であり、日本語の教科書を探している読者は対象の棚が別になる。
まとめ
Gemini Notebookは2026年10月29日から、数百冊の大学教科書を無料でソースに追加できるようになった。提供元はOpenStax・Open Textbook Library・S Chand Publishingなどで、購入の手続きは要らない。追加した教科書を根拠に、引用付きの質問応答や学習ガイド・フラッシュカードを作れる。
この無料枠は、9月に始まった「購入した本なら10万冊超を読み込ませられる」仕組みの中の例外にあたる。無料で使えるのはあくまで教科書に限られ、対象も英語の教材が中心だ。それでも、分厚い英語の教科書を1冊ずつ読み通す代わりに、知りたい箇所を引用付きで聞けるようになった。
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