電源タップの空きは1つしかないのに、スマホの充電器・モバイルディスプレイ・ノートPCの電源アダプターがそこをすでに埋めている。そこへ、エネループの充電器まで挿そうとして諦めた経験がある人は多いはずだ。乾電池型の充電池を使う機器は今も現役なのに、その充電器はコンセントに直接挿すタイプしか選べなかった。
パナソニック エナジーが2026年9月30日に発表した「BQ-CCE5」は、この前提を変える。USB Type-C入力に対応し、スマートフォンを充電するのと同じケーブル・充電器を使い回せる。コンセントを塞がずに済むようになった一方で、充電の速さはどうなったのか。普通に考えれば、そこは引き換えになりそうな部分だ。
急速充電器はなぜコンセント直挿しなのか
パナソニックの現行モデルを見ると、急速充電器はどれもコンセントに直接挿すプラグ一体型になっている。定番モデルのBQ-CC55も、上位モデルのBQ-CC85も、本体サイズは120×68×28mm・質量は約120gで、そのままコンセントに挿し込んで使う。
これは、家庭のコンセントが送ってくる交流100Vを、電池を充電できる直流の低電圧に変換する回路を、本体の中に抱えているからだ。変換回路とプラグを一体にしてしまえば、電源コードを引き回す必要がなく、扱いは単純になる。その代わり、本体はコンセントの真下に固定され、隣の差し込み口も自然とふさぐ。ここまでは、多くの家電と同じ発想だ。では、この変換の仕事を本体の外に出してしまったら何が起きるのか。
USB Type-C入力で何が変わったか
BQ-CCE5は、この変換回路を手放した。公式ページには「USB Type-C入力だからACコンセントがいっぱいでも、市販のUSB Type-Cケーブルと対応ACアダプターを使用して充電できます」とある。電圧の変換は、スマートフォン用のACアダプター側がすでに担っている。BQ-CCE5はその出力(USB DC5V/2A)を受け取るだけでよくなった。
結果として、本体は89×66×29mm・質量約85gまで小さく軽くなった。直挿し型のBQ-CC55・BQ-CC85(いずれも約120g)と比べて3割近く軽い。数字を並べると、変換回路を外に出した分だけ本体側が軽くなったことが見えてくる。
| 機種 | 入力方式 | 本体寸法 | 質量 | 単3形2本の充電時間 |
|---|---|---|---|---|
| BQ-CC55 | ACコンセント直挿し | 120×68×28mm | 約120g | 約1.5時間 |
| BQ-CC85 | ACコンセント直挿し | 120×68×28mm | 約120g | 約1.5時間 |
| BQ-CCE5 | USB Type-C入力 | 89×66×29mm | 約85g | 約1.5時間 |
この表を見て、自分は充電時間の欄が3機種とも同じ「約1.5時間」であることに引っかかった。コンセント直結の電力を手放したのだから、充電はもっと遅くなると予想していたからだ。
速さは犠牲にならなかった
予想は外れた。BQ-CCE5の仕様ページは「当社ラインアップNo.1の充電スピード(2本充電時)のBQ-CC85と同等の充電速度を実現」と明記している。BQ-CC85は、直挿し型の中でパナソニックが自社の最速モデルと位置づける製品だ。そのBQ-CC85と同じ速度を、コンセント不要のUSB-C入力で実現したことになる。
USB Type-C化は、充電池側の充電速度を犠牲にせずに、本体だけを軽くする変更だった。 電池1本ずつの状態を見て制御する「センシング充電」機能は、変換回路を手放した後も本体側にそのまま残っている。変換をスマホ用の充電器に肩代わりさせ、本体は電池の制御に専念する役割分担になっているのではないか、というのが自分の見立てだ。公式ページは回路の中身までは説明していないので、断定はしない。
ただし、この速度には条件が付く。ケーブルとACアダプターは本体に同梱されておらず、別途用意する必要がある。しかもプレスリリースの注釈には「出力電流2.0A以上のACアダプター使用時」が約1.5時間の前提であり、「2.0A未満の場合は充電時間が長くなります。0.5A未満の場合は異常終了となり充電できません」とある。すでにUSB PD対応のスマホ用充電器を持っている人なら大抵は満たせる条件だが、初めて選ぶ人は5V/2A以上の出力に対応したものを選びたい。
向く人・向かない人
- 向く人: デスクや旅行先でUSB-C充電器・ケーブルをすでに複数持っている人。コンセントの空きを気にせず、机の上など好きな場所に充電器を置きたい人
- 向かない人: 充電池専用の機器としてコンセントに挿しっぱなしで完結させたい人。手元に5V/2A対応のUSB-C充電器・ケーブルが無く、それも合わせて揃える必要がある人
エネループ本体とのセット「K-KJE5MCD40」(単3形4本付き)・「K-KJE5MCD04」(単4形4本付き)も、同じ10月下旬に発売される。3モデルともメーカー希望小売価格は定めないオープン価格で、店頭での実売価格は発売後に確認する必要がある。
まとめ
パナソニックの新型急速充電器BQ-CCE5は、コンセント直挿しをやめてUSB Type-C入力になった。スマホ用のケーブル・充電器を使い回せるため、電源タップの空きを1つ節約できる。そのうえで、パナソニックの直挿し型の中で最速だったBQ-CC85と同じ充電速度(単3形2本で約1.5時間)を保っている。
一方で、ACアダプターとUSB Type-Cケーブルは同梱されておらず、5V/2A以上の出力に対応したものを別途用意する必要がある。すでにその条件を満たす充電器を持っているなら、乗り換える理由がある1台だ。発売は2026年10月下旬、価格はオープン価格で発売後の実売価格を確認する必要がある。
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