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モビリティ

横浜で始まる「スロモビ」は免許もヘルメットも要らない

OpenStreetが横浜市の桜木町・関内・日本大通りで、時速6kmの小型車を無料で貸すシェアサービスを10月5日に始める。免許・ヘルメット不要の理由は、法律上「歩行者」として扱われる新しい車両区分にある。

高齢の男性が青い電動モビリティスクーターに座り、歩行者・自転車の標識がある遊歩道を走っている写真

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Márton Novák on Pexels

横浜駅から少し歩いた桜木町・関内・日本大通りのあたりで、10月5日から免許もヘルメットも要らない小型の乗り物を無料で借りられるようになる。運営するのはシェアサイクル「HELLO CYCLING」のOpenStreetで、名前は「スロモビ」。公式発表によると、最高速度は時速6kmで、16歳以上・体重100kg未満なら誰でも申し込める。

「免許不要」と聞くと、街で見かけるLUUPのような電動キックボードのシェアを思い浮かべる人もいるはずだ。実はこの2つ、同じ「免許不要」でも法律上の扱いがまったく違う。スロモビが免許もヘルメットも要らないのは、乗り物としての規制が緩いからではなく、法律上「歩行者」として扱われる区分に収まっているからだ。

横浜のどこで使えるようになるのか

スロモビが置かれるのは横浜市内の3カ所。OpenStreetの発表にあるステーションは次のとおりだ。

  • 桜木町駅(桜木町駅第4自転車駐車場内)
  • 関内駅(関内駅ドコモ・バイクシェアポート内)
  • 日本大通り地下駐車場

利用は「HELLO CYCLING」アプリから無料会員登録して申し込む。借りたステーションへ返す方式なので、返却先は借りた場所と同じ3駅のどこかになる。料金や利用時間の条件は、記事末にまとめた。

サービス期間は2026年10月5日から2027年3月31日まで。これは横浜市とOpenStreetが共同で行う「歩行領域モビリティ社会実験」という実証実験の枠組みにあたる。鉄道駅や公共駐車場の周辺にシェアモビリティの拠点を作り、市民や来街者の移動の選択肢を広げる取り組みの一環だ。この記事の内容が当てはまるのは、来年3月末までの実証実験期間中に限られる。延長や本格導入の可否は、今回の発表では触れられていない。

無料で乗れる乗り物が駅前に増えると聞くと、次に気になるのは「なぜ免許不要で成り立つのか」だろう。

免許不要という言葉の中身が違う

答えを先に言うと、スロモビは法律上「車両」ではなく「歩行者」として扱われる。この違いを理解するには、すでに街に浸透している別の乗り物と並べるのが早い。

電動キックボードのシェア(LUUPなどが展開する「特定小型原付」)も、16歳以上なら免許なしで乗れる。ここだけ見るとスロモビと同じに思えるが、警察庁の説明によれば、特定小型原付の最高速度は時速20kmで、車道を走る「車両」の一種にあたる。免許こそ不要だが、ナンバープレートの表示と自賠責保険への加入が義務づけられている。ヘルメットの着用は努力義務にとどまる。

スロモビが分類される「移動用小型車」は、これとは別の区分になる。Impress Watchの報道は「2023年4月施行の改正道路交通法で新設された車両区分『移動用小型車』に分類されるモビリティ。最高速度は時速6kmで、歩道や路側帯を走行でき、道路交通法上は歩行者として扱われる」と伝えている。歩行者として扱われる以上、車両を運転するための免許は要らず、乗車用ヘルメットの規定も適用されない。

ここで自分は一度混乱した。同じ「免許不要」という言葉の中身が、片方では「車両だが免許だけ免除されている」で、もう片方では「そもそも車両として扱われていない」になる。仕組みがまったく違う2つが、同じ言葉でくくられていたからだ。

「歩行者」扱いが免除しているもの

「歩行者として扱われる」という言い方は抽象的に聞こえるが、免除される中身は具体的だ。日本損害保険協会の説明によれば、移動用小型車は「道路運送車両法の規制対象である『運送車両』に該当しない」と考えられている。そのため「自賠責保険の対象とならなくなります」という。車両区分から外れることで、免許・ヘルメットだけでなく、ナンバー登録や自賠責保険の加入義務そのものが発生しない。実際、同協会は2023年4月以降、該当する契約を解約できるようになったとも案内している。

この扱いを受けられる条件が、時速6kmという上限だ。同協会によれば、移動用小型車は長さ120cm以下・幅70cm以下・高さ120cm以下で、電動機を使い、時速6kmを超える速度を出せない構造であることが求められる。速度の上限は単なる安全基準ではなく、歩行者として扱ってよいと判断するための線引きそのものになっている。

区分最高速度免許ヘルメットナンバー・自賠責保険
特定小型原付(電動キックボード等)時速20km不要努力義務必要
移動用小型車(スロモビ)時速6km不要規定なし不要

表からも分かるとおり、免許不要という共通点の奥で、車両としての義務ごと免除されているかどうかが分かれている。速度が3分の1以下になる代わりに、スロモビは手続きの負担がほぼゼロになっている。

この速度設定は、車両を開発した豊田鉄工にとって規制に合わせただけの数字ではないようだ。同社は2023年、OpenStreetとの共同開発を発表した際に「全ての人が安心で安全に移動できる社会」を目指すと掲げた。開発の狙いとして挙げているのが「歩行者と同じ道を歩行者と同じ速度で移動できる」ことだ。時速6kmという上限は、歩行者として扱われるための条件であると同時に、隣を歩く人と並んで進める速度でもある。

使う前に確認しておくこと

法律上の位置づけが分かったところで、実際に使う際の条件を整理しておく。

  • 対象年齢は16歳以上、体重は100kg未満
  • 料金は無料、1回の利用は最大12時間まで。超過すると5,000円(税込)がかかる
  • サービス提供期間は2026年10月5日から2027年3月31日まで

型式の公表はなく、乗り心地や実際の操作感は、実証実験が始まってからの話になる。

まとめ

横浜市桜木町・関内・日本大通りの3駅では、2026年10月5日から、免許もヘルメットも要らない時速6kmの小型車「スロモビ」を無料で借りられるようになる。免除の根拠は、2023年4月施行の改正道路交通法で新設された「移動用小型車」という区分に収まり、法律上「歩行者」として扱われることにある。電動キックボードの「特定小型原付」が免許不要でもナンバーと自賠責保険を必要とする車両であるのに対し、スロモビは車両としての手続きごと免除されている。サービスは2027年3月31日までの実証実験で、対象は16歳以上・体重100kg未満、1回最大12時間まで無料になる。

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