GitHubのREADME.mdをGoogleドライブに置いて、Markdownに詳しくない同僚にも見てもらおうとしたことがある人は多いはずだ。ダブルクリックしてGoogleドキュメントで開くと、元のファイルとは別物の体裁になり、画像の位置もずれる。結局スクリーンショットを撮って送るか、別のビューアを探す羽目になる。
その不満に、Googleが答えを出した。Googleドキュメントとドライブで、Markdownファイル(.md)をファイル形式ごと変換することなく直接開いて編集・共有できるようにした。2026年10月5日の公式ブログでの発表だ。「対応」という言葉は2024年にも使われていたが、今回は何が違うのか、元の書式はどこまで保たれるのかを確かめた。
2024年の対応は何だったのか
「Markdown対応なら2024年にもう入っていたはずでは」と思った人もいるだろう。自分もそう思って調べ始めた。たしかに2024年7月、GoogleドキュメントはMarkdownのインポートとエクスポートに対応している。[ファイル]メニューから.mdファイルを開けるし、ドキュメントをMarkdownとしてダウンロードすることもできる。
これは、文中で**と打つと自動で太字になるような、以前からある入力中の自動変換機能とは別物だ。あちらは1文字ずつの入力を変換するだけで、既存の.mdファイルを開く機能ではない。2024年の対応はファイル単位のインポート・エクスポートで、今回の変更もこのファイル単位の話の続きになる。
ただし、その中身は「変換」だった。.mdファイルを開くと、ファイル形式はその場でGoogleドキュメント形式に作り変えられる。元のMarkdown記法は失われ、通常のリッチテキストの文書として扱われるようになる。gihyo.jpの報告によると、画像はbase64の文字列としてドキュメントに埋め込まれる仕組みだった。元のMarkdownで見出しの下に置いていた画像も、この変換を通るとレイアウト上の位置が元の構造と一致する保証はなくなる。
自分がここで引っかかったのは、2024年の対応も「Markdownに対応しました」という同じ触れ込みで発表されていた点だ。できることの範囲は同じでも、裏側では毎回ファイルを作り変える往復が起きていた。
今回はファイル形式を変えずに編集できる
では、今回の変更は何をなくしたのか。答えは、ファイル形式を作り変える往復そのものだ。Googleドキュメントのヘルプページによると、.mdファイルはドライブで右クリックして「アプリで開く」からプレビューするか、ダブルクリックでGoogleドキュメントに開く。このとき開かれるのは「Markdownモード」で、タイトルの横に小さく「.md」のタグが表示される。
見た目はこれまでのGoogleドキュメントと同じで、ツールバーで太字や見出しを設定しながら編集できる。違うのは保存のされ方だ。編集を終えて保存しても、ファイルはGoogleドキュメント形式には変わらず、.mdファイルのままドライブに残る。開く・編集する・保存するという一連の操作から、ファイル形式を作り変える工程が消えた。
2024年の対応と今回の対応を並べると、変わった点がはっきりする。
| 2024年7月の対応 | 2026年10月の対応 | |
|---|---|---|
| ファイルを開く | インポートしてGoogleドキュメント形式に変換 | 形式を変えず.mdのまま開く |
| 保存される実体 | Googleドキュメントファイル(.gdoc) | 元の.mdファイル |
| 2024年当時の画像の扱い | base64の文字列として埋め込み | (該当機能なし) |
| ドライブでの表示 | 対応なし | 書式を反映したプレビュー表示 |
ドライブ側にも変化があり、.mdファイルをクリックしただけで、見出し・表・箇条書き・リンクを反映したプレビューが表示されるようになった。これまでプレビューで確認する手段がなく、開くかダウンロードするしかなかった。見るだけなら、クリック一つで済むようになった。共同編集やコメントも、変換後のコピーにではなく元の.mdファイルに対してそのまま使える。
対象はGoogle Workspaceの全顧客と、個人のGoogleアカウントの両方。管理者による制御の設定項目はなく、利用者側で有効・無効を切り替える設定もない。10月5日から最大15日かけて順に行き渡る段階的な展開だ。
公式ブログは、この変更の狙いを「ユーザーとエージェントの双方が、誰にも生のMarkdown記法を書かせることなく共同編集できる」とも説明している。READMEやAGENTS.mdのように、コーディングエージェントが読み書きするファイルは増えている。人間はリッチテキストの画面で中身を確認・修正し、ファイルの実体はエージェントが扱えるMarkdownのまま保たれる。そういう使い方を想定した変更だ、と自分は読んだ。
対応していない書式
変換という手間が消えた一方で、何かが犠牲になっていないだろうか。公式ヘルプが挙げているのは次の3点だ。
- Googleドキュメントで日付や人物名を入力すると候補カードが出てくる「スマートチップ」は、ただの文字やリンクに変わる
- ウェブページからの貼り付けによるHTMLの書式は、書式なしのプレーンテキストになる
- フォントの色・ハイライト・文字の配置は失われる
つまり、すでに装飾を凝らしたGoogleドキュメントを「Markdown化」する用途には向かない。あくまで、最初からMarkdownとして書かれたファイルを、形式を変えずに読み書きするための機能だ。この条件に当てはまるのは、GitHubのリポジトリやメモアプリで書いたMarkdownを、変換せずドライブでも扱いたい人になる。
まとめ
Googleドライブに置いたMarkdownファイルは、ドキュメントで開いても.mdファイルのまま編集・保存できる。ドライブ上では書式付きでプレビューもできるようになった。2024年のインポート/エクスポートが起こしていたファイル形式の変換と、それに伴う画像の位置ずれは、この仕組みでは起きない。
対象はWorkspaceの全顧客と個人アカウントで、設定は不要。10月5日から最大15日で順次使えるようになる。スマートチップやフォント装飾が失われる点だけ覚えておけば、README.mdやAGENTS.mdのような共有ドキュメントを、変換を気にせずドライブに置けるようになる。
コメント
気づきや感想をどうぞ記事への補足や、読んで考えたことをお寄せください。個人情報や、他の人を傷つける内容の投稿はお控えください。
投稿にはGoogleログインが必要です。
Googleでログイン投稿にはGoogleアカウントの表示名が公開されます。メールアドレスは取得・公開しません。
コメントを読み込んでいます…