通勤中にスマホの読書アプリで読んでいた技術書の続きを、帰宅後にノートPCで開いたら、どこまで読んだか分からなくなった。ハイライトを引いた場所も、スマホの中にしか残っていない。そんな経験がある人は少なくないはずだ。
この壁を無料で越えるアプリがある。「Readest」というオープンソースの電子書籍・PDFリーダーだ。Windows・macOS・Linux・Android・iOS・Webブラウザに加え、電子ペーパー端末までハイライトと読書位置を無料で同期できる。しかも、2冊の本を同時に開ける機能まで無料の範囲に入っている。どこまでが本当に無料で、何が有料になるのか。
Readestは何を同期するのか
Readest公式サイトは、自社を「無料のオープンソースEPUB・PDFリーダー」と説明している。対応するのはmacOS・Windows・Linux・Android・iOS・Webブラウザだ。それに加えて、KOReader・CrossPoint端末にも対応する。これは、KoboやBooxなど電子ペーパー端末に自分で入れて使う、オープンソースの読書ソフトが動く機器のことだ。
ベースになっているのは、同じくオープンソースの電子書籍リーダー「Foliate」で、READMEには「Foliateの現代的な作り直し」と書かれている。対応フォーマットはEPUB・MOBI・KF8(AZW3)・FB2・CBZ・TXTで、PDFは実験的対応とされている。
同期されるのは、本棚(ライブラリ)・読書の進み具合・ハイライト・メモの4つだ。公式料金ページは「ライブラリ、読書進捗、ハイライト、メモがすべての端末でシームレスに同期される」としている。自分は電子書籍の同期を、1つのブランドの中だけで完結するものだと思っていた。KindleアプリはAmazonで買った本だけを対象にする。Apple BooksもApple製品の中だけで完結する。これに対しReadestは、EPUBという共通フォーマットを扱える機器なら、ブランドを問わず同じ本棚につながる設計になっている。
ここまでは無料で使える。では、無料のまま使える範囲はどこまでなのだろうか。
無料でどこまで同期できるか
公式料金ページによると、Readestには無料・Plus(月額4.99ドル)・Pro(月額9.99ドル)の3段階があり、違いの中心はクラウド同期の容量だ。
無料プランの同期容量は500MBだ。この数字だけを見ると、ハイライトやメモのような軽いテキストデータだけが対象だと思うかもしれない。しかし公式のFAQは「容量の上限を超えると止まるのは、新しい本のアップロードだ」と説明している。つまり500MBは、メモや読書位置だけでなく、クラウドに置く本のファイルそのものの容量も含む。電子書籍を何冊もクラウドに置いていく使い方だと、無料枠は意外と早く埋まる可能性がある。
AI翻訳にも1日あたりの文字数制限があり、無料は1万文字、Plusは10万文字、Proは50万文字だ。読み上げ機能(AI読み上げ)は無料プランでも利用でき、料金ページに時間制限の記載はない。
無料でここまで使えるなら、他の読書アプリにはない機能も無料の範囲にあるのだろうか。
無料でも2冊を同時に読める
GIGAZINEの紹介記事が「特徴的な機能」として最も詳しく扱っているのが、「Parallel Read」だ。公式サイトの説明では「2冊の本を分割画面で並べ、スクロールとナビゲーションを同期させながら読める」機能だと説明している。想定する使い方として「テキスト・翻訳・考え方を比較する」場面が挙げられている。片方の画面をめくると、もう片方も連動してページが進む。
公式サイトは、想定する利用者として研究者・学生・語学学習者・複数の本を同時に読む人を挙げている。資料を突き合わせたり、原文と訳文を並べたりする場面を思い浮かべればよい。同じ画面で2冊の進み方がずれないという発想は、読書アプリとしてはあまり見ない。
料金ページのFree列が挙げる機能は6つある。クロスプラットフォーム同期・カスタマイズ可能な読書・AI読み上げ・AI翻訳(1日1万文字)・コミュニティサポート・500MBのクラウド同期だ。この中にParallel Readという名前はない。一方、Plus/Pro限定として挙げられる機能の一覧にも、Parallel Readは含まれていない。挙げられているのは、同期容量の拡張・AI翻訳の文字数・読み上げの時間無制限化・後述の「完全カスタマイズ」・優先サポートの5つだ。つまり、少なくとも現時点の料金ページには、この機能を有料に限定する記載がない。
2冊同時読みまで無料で使えるとなると、有料プランでしか増えないものは何になるのだろうか。
有料プランで増えるもの
同期容量とAI翻訳の文字数以外に、Plus・Proでしか手に入らない機能が1つある。公式料金ページによると、買い切り19.99ドルの「完全カスタマイズ機能」を解放すると、次の5つが使えるようになる。
- 独自クラウド(WebDAV・Google Drive・OneDrive・iCloud Drive・S3互換)を使った同期
- 「Send to Readest」という専用メールアドレスへ本を送っての取り込み
- 読み上げ音声を本ごとにオフラインへダウンロードする機能
- Audiobookshelfサーバーからのオフラインダウンロード
- 確認なしで転送できる、信頼済み端末同士のペアリング
無料のままでは、同期先はReadest自身が用意したクラウドだけになる。自分のGoogle DriveやWebDAVサーバーに本を置いて同期したい人や、音声を端末に保存してオフラインで聞きたい人は、この買い切り機能が必要になる。表にまとめると、無料とPlus・Proの違いは次のようになる。
| 項目 | 無料 | Plus(月4.99ドル) | Pro(月9.99ドル) |
|---|---|---|---|
| クラウド同期容量 | 500MB | 5GB | 20GB |
| AI翻訳(1日あたり) | 1万文字 | 10万文字 | 50万文字 |
| AI読み上げ | 利用可 | 時間無制限 | 時間無制限 |
| 完全カスタマイズ機能 | 別売り(19.99ドル) | 含む | 含む |
| 優先サポート | なし | あり | あり |
無料プランの範囲は、同期容量と翻訳文字数を除けば、思っていたより広い。Readest公式サイトのフッターには運営元として「Bilingify LLC」の表記があり、ソースコードはAGPL-3.0ライセンスで公開されている。無料で公開しながら、クラウド機能で収益化する作りになっている。
まとめ
Readestは無料・オープンソースの電子書籍/PDFリーダーだ。Windows・macOS・Linux・Android・iOS・Webブラウザ、それに電子ペーパー端末まで、ハイライト・メモ・読書位置を同期できる。無料プランの500MBという容量は、メモだけでなく本のファイル自体の保存も含む点に注意が要る。
それでも、2冊を並べてスクロールごと同期させながら読む「Parallel Read」は、現時点の料金ページを見る限り無料の範囲で使える。もっと容量や翻訳文字数を増やしたい、あるいは自分のクラウドに同期先を変えたいときは、月額プランと買い切りの完全カスタマイズ機能が選べる。スマホとPCで読んだ場所がずれて困っていた人は、まず無料のまま試せる。
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