さっきまで普通に動いていたのに、またPCが重くなってきた。タスクマネージャーを開いても、怪しいプロセスのCPU・メモリ使用率が見えるだけで、その中身までは分からない。結局、原因を特定できないまま再起動して終わる──という経験をしたことがある人は多いはずだ。
そこから一歩先に進みたいときに頼られてきたのが、Microsoft自身が無料配布する診断ツール「Process Explorer」だ。Microsoft公式Sysinternalsブログは2026年10月15日、その最新版v17.2を公開したと発表した。目を引くのは、これまで別のツールを探してこなければならなかった2つの機能が、Process Explorer本体に取り込まれた点だ。統合された2つの機能は何で、なぜ今までは簡単に手に入らなかったのか。
v17.2で何が変わったか
Process Explorerは、プロセスが開いているハンドルや読み込んだDLLを一覧できる、タスクマネージャーより詳しい情報を見るためのツールだ。Microsoft Learnのダウンロードページによると、Mark Russinovich氏が公開してきたSysinternalsの定番ツールの1つだという。今回の更新は2026年10月15日付で、ダウンロードサイズは3.5MBとされている。
公式ブログが挙げる今回の変更点は次のとおりだ。
| 新機能 | 内容 |
|---|---|
| プロセスメモリマップエクスプローラー | プロセスのメモリの内訳を表示 |
| ライブカーネルメモリダンプ作成 | 稼働中のシステムの状態を記録したファイルをその場で作成 |
| NPU監視 | NPU使用率をシステム全体・プロセス別にグラフ表示 |
| 効率モード対応 | バックグラウンドプロセスの効率モードの状態を表示・切り替え |
| 永続的なプロセスアクティビティ履歴 | プロセスの活動履歴を保持 |
| System Informationの「Devices」ページ | デバイス情報を表示する新しいタブを追加 |
窓の杜(Impress Watch)の記事によると、メモリマップはプロセスのプロパティ画面に追加されている。ライブカーネルメモリダンプの作成は、右クリックメニューに追加されたという。効率モードは[Select Columns]ダイアログの[Process Image]タブで列を追加すると確認できる。NPU監視は[System Information]ダイアログの[NPU]タブで見られるという。対応OSはクライアントがWindows 11以降、サーバーはWindows Server 2019以降で、Windows 10では動かない。
この一覧の中で、タスクマネージャーでは見られなかった情報に初めて手が届くのは、メモリマップとカーネルメモリダンプの2つだ。残りのNPU監視と効率モードには、あとで触れる留保がある。では、この2つはこれまでどう扱われてきたのか。
メモリの内訳はなぜ別ツール頼みだったか
プロセスがどれだけメモリを使っているかは、タスクマネージャーでも分かる。しかし、そのメモリの中身までは出てこない。実行中のコードが占めている分なのか、読み込んだファイルがマップされている分なのか、確保はしたがまだ使っていない予約領域なのか、という内訳のことだ。
この内訳を見るために使われてきたのが、Process Explorerとは別に配布されている「VMMap」というツールだ。Microsoft Learnの説明では、プロセスの仮想・物理メモリ分析ユーティリティだと説明されている。コミットされた仮想メモリの型別の内訳と、実際に使われている物理メモリ(ワーキングセット)の量を、グラフと詳細なメモリマップで示す。つまり今まで、Process Explorerで重いプロセスを見つけても、内訳を調べるにはVMMap(7.6MBの別ダウンロード)を起動し直す必要があった。
v17.2の「プロセスメモリマップエクスプローラー」は、この内訳確認をProcess Explorer本体に持ち込んだものだ。プロセスを選んでプロパティを開くだけで、別ツールを探しに行かずに内訳まで見られるようになる。
メモリの内訳が1本のツールで見られるようになった一方、もう1つの新機能は、メモリの中身そのものよりも手強い相手を扱う。PCがフリーズする、あるいは原因不明の不具合が起きる、その瞬間の状態を外部ファイルとして持ち出す機能だ。
カーネルダンプはなぜ難しかったか
Windowsが深刻なエラーで動かなくなったとき、いわゆるブルースクリーンの画面になり、再起動後に「メモリダンプ」というファイルが残ることがある。このファイルには、クラッシュした瞬間のメモリの状態が記録されていて、原因調査に使われる。
ここで引っかかるのは、メモリダンプが基本的に「クラッシュしたときにしか作られない」という点だ。PCが正常に動いているあいだに、その瞬間の状態を記録したいとする。本来は、意図的にシステムをクラッシュさせて強制的にダンプを作らせるか、再起動を伴う設定変更をするしかなかった。わざわざ調べたいだけなのに、システムを壊すか止めるかしないと記録が取れない、というのが従来の制約だった。
この制約を避けるために使われてきたのが、カーネルデバッガーを稼働中のシステムに対して動かす「LiveKd」のような手段だ。システムを止めずにカーネルの状態を外から読み取り、ファイルとして書き出す。ただし、システムが動き続けたままメモリを写し取るため、書き出しの途中で状態が変わってしまうことがある。この弱点のせいで、厳密に一貫したスナップショットにはなりにくいと指摘されてきた。
稼働中の状態を記録する方法を並べると、次のようになる。
- クラッシュ時のダンプ: Windowsが異常終了した瞬間に、再起動を経て自動的に作られる
- LiveKdのような従来の手段: コマンドラインの操作と、シンボルの参照先を設定する準備が要る
- v17.2のProcess Explorer: プロセスの右クリックメニューから、その場で作成できる
クラッシュを待たず、動いたままの状態をその場で取り出せるようになったわけだ。シンボル設定のような準備が今も要るかどうかは公式ブログ・窓の杜の記事のどちらにも記載がなく、使う前に自分の環境で確かめておきたい条件として残る。
メモリの内訳とカーネルの状態、この2つが右クリックメニューとプロパティ画面に収まった。PCの不調を自分で調べる人が別ツールを探し回る場面は、これまでより減ることになる。公式ブログにはほかにも、NPU監視や効率モードといった項目が並んでいるが、これらは本当に新しい機能なのだろうか。
NPU監視と効率モードは新しいか
公式ブログの新機能一覧には「NPU監視」と「効率モード対応」も並んでいる。この一覧を最初に読んだときは、自分もこの2つを目新しい機能だと思っていた。だが調べてみると、どちらもWindows 11のタスクマネージャー自体には、Process Explorerより先に存在していた機能だと分かった。
効率モードは、バックグラウンドプロセスの優先度を下げて電力効率を高める機能だ。2022年のWindows 11 22H2刷新のときから、タスクマネージャーに搭載されている。NPUの使用率をプロセス単位で見る機能も同様だ。BleepingComputerなど複数の海外メディアの報道によると、2026年6月9日の更新(KB5094126)でタスクマネージャーに追加されたという。5月26日のプレビュー版(KB5089573)が先行していた。つまり、タスクマネージャーで列を追加する設定さえ知っていれば、同じ情報は半年前から見られていたことになる。
Process Explorerの新機能として素直に喜べるのは、メモリマップとカーネルダンプの2つだ。NPU監視と効率モードは、タスクマネージャー側の情報を同じ画面に集めたもの、という位置づけで見るのが実態に近い。
まとめ
Process Explorer v17.2は、2つの機能を本体に統合した。これまでVMMapという別ツールが担っていたメモリの内訳表示と、LiveKdのような専用の手段が必要だったライブカーネルメモリダンプの作成だ。PCの不調を自分で調べる人は、プロセスを右クリックするかプロパティを開くだけでいい。メモリの中身と、クラッシュしていない状態のスナップショットの両方に手が届くようになる。
NPU監視と効率モードも新機能として並んでいるが、これらはタスクマネージャーに半年〜4年前から存在していた情報を同じ画面にまとめたものだ。対応OSはクライアントがWindows 11以降、サーバーはWindows Server 2019以降で、Microsoft公式ページから無料でダウンロードできる。
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