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Gemini「Call for Me」、電話をかけて用件を済ませる

GoogleのGeminiが2026年9月24日、電話をかけて店側と話し、予約や在庫確認を済ませる「Call for Me」を早期プレビュー公開。仕組みと、支払いの手前で人に戻る線引きを確認する。

スマートフォンを耳に当てて電話をしている女性

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Andrea Piacquadio on Pexels

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美容院の予約を変更したいのに、電話をかけるタイミングを逃し続けている。かけても自動音声メニューで「ご希望のメニューは1を、変更は2を」と番号を押させられ、そのあと保留で待たされる。そんな経験がある人に向けて、Googleが2026年9月24日(米国時間)、Geminiの新機能「Call for Me」を早期プレビュー公開した。

公式サポートページによれば、Geminiはユーザー本人の電話番号から店に電話をかける。自動音声メニューの操作や保留での待機だけでなく、店員と実際に会話して予約や在庫確認まで済ませてくれる。

どこまで代わりにやってくれて、どこから先は自分に戻ってくるのか。まずは対象になる人から確認する。

誰が今すぐ使えるのか

Call for Meはまだ全員向けではない。公式サポートページが挙げる条件は次のとおりだ。

  • 18歳以上で、米国在住であること
  • 米国のSIMカードを挿したPixel 11シリーズ(Pixel 11、11 Pro、11 Pro XL、11 Pro Fold)を使っていること
  • Google AIサブスクリプション(Geminiの有料プラン)に加入していること
  • 端末の言語設定が英語であること
  • 「Phone by Google」アプリのパブリックベータに登録していること

9to5Googleによれば、この条件を満たす利用者への展開は2026年9月24日に始まったばかりの早期プレビューで、対象の拡大時期は公式に示されていない。日本語設定・日本在住では、現時点でこの条件を満たせない。

対象は限られるが、実際に電話をかけたとき、Geminiは何をどこまで代わりにやってくれるのか。

電話をかけると何が起きるのか

たとえば、美容院に予約の変更を頼む場面を考える。Geminiに頼むと、次の流れで進む。

  1. Geminiがユーザー本人の電話番号から美容院に発信する
  2. 自動音声メニューが流れたら、案内に応じてGeminiが番号を選ぶ
  3. 保留になったら、Geminiがそのまま待つ
  4. 店員が出たら、Geminiが用件(予約の変更)を伝えて会話する
  5. 自分はGemini上のリアルタイム字幕でやり取りを見られる

ここまでの3つの手順は、実は目新しくない。Googleは2020年9月30日、保留中の間だけ代わりに待つ「Hold for Me」を公式ブログで発表している。当時の対象はPixel 5とPixel 4a(5G)、米国での早期プレビューだった。この機能は、保留音と人の声をオンデバイスで聞き分け、店員が出た瞬間に通知でユーザーへ引き継ぐところまでが役目だった。つまり「待つ」係であって、「話す」係ではなかった。

Call for Meが変えたのは4番目だ。Geminiは店員が出たあとも電話を切らず、そのまま用件を伝えて会話を進める。公式サポートページは、営業時間や商品在庫、サービスの見積もりの確認、予約の作成・確認・変更をできることの例に挙げている。Engadgetが伝える実際の使い道も具体的だ。金物店に特定の部品の在庫を確認する、美容院の予約を来週木曜に動かす、レストランのテラス席を予約する。いずれも電話口で数分のやり取りが必要な、後回しにしがちな用件になる。ユーザーが手を動かすのは、Geminiに頼む操作と、必要なら字幕を見て会話に割り込む判断だけだ。

Hold for Me(2020年)Call for Me(2026年)
保留中に代わりに待つ○○
店員と会話する✕○
予約の作成・変更を頼む✕○

この表から分かるのは、Call for Meが「待つ」機能の延長ではなく、「話して用件を終わらせる」という別の役割を持つ機能だという点だ。会話の中身にまで踏み込むなら、次に気になるのは、電話の相手が「これはAIだ」と気づけるのか、そして自分の情報がどこまで話されてしまうのかになる。

相手はAIだと気づけるのか

これには公式の答えがある。公式サポートページによれば、Geminiはすべての通話をまず開示から始める。「Googleの自動音声アシスタントが、録音回線でユーザーの代理としてかけている」と名乗る一言だ。電話に出た店員は、会話の冒頭で相手がAIだと分かる仕組みになっている。

この一文を読んで、自分は2018年のGoogle I/Oを思い出した。Googleは当時、AIが美容院やレストランに電話をかけて自然に会話する「Google Duplex」のデモを公開した。「えーと」「あの」といった相づちまで交えた音声が人間と区別しにくく、相手が「AIと話している」と気づけないまま会話が進む可能性が問題視された。

批判を受けたGoogleは、実用版のDuplexでは通話の冒頭でAIアシスタントだと名乗ると約束している(GSMArena、2018年5月11日)。あのときの約束が、8年後のCall for Meでもそのまま守られている。AIが担う作業は「保留で待つだけ」から「会話して用件を終わらせる」まで踏み込んだが、開示の一線は動いていない。

もう一つの心配は、個人情報の共有がどこまで許されるかだ。公式サポートページによれば、Geminiは予約に必要な氏名や連絡先など、ユーザーが承認した範囲の個人情報を店側に伝えられる。ただし、これはあくまで「代わりに話す」ところまでで、お金が絡む場面には踏み込まない。

支払いや緊急通報はどうなるのか

公式サポートページは、Geminiにできないことも明記している。

  • 911などの緊急通報はできない
  • 支払いや金銭の取引は完了できない
  • 機密性の高い個人情報は共有できない

会話の途中で支払いが必要になった場合は、そこでユーザー本人に会話が戻る設計になっている。予約や在庫確認のような「話して終わる用件」はGeminiが最後まで担い、お金が動く場面だけは必ず人に戻す。この線引きが、Call for Meの役割の範囲を決めている。

なお、1日にかけられる通話回数には上限があり、上限に達すると翌日まで待つ必要があると公式サポートページは説明している。具体的な回数は公開されていない。

まとめ

Call for Meは、Geminiが自動音声メニューの操作や保留での待機に加えて、店員と実際に会話し、予約や在庫確認を完了できるようにした新機能だ。2020年のHold for Meが「代わりに待つ」役だったのに対し、今回は「代わりに話して用件を終わらせる」役まで踏み込んでいる。通話の冒頭で必ずAIだと名乗る仕組みは、2018年のGoogle Duplexが受けた批判への対応がそのまま引き継がれたものだ。支払い・緊急通報・機密性の高い情報共有は常にユーザー本人に戻る。

対象は今のところ、米国在住で米国SIMカードのPixel 11シリーズを使い、Gemini有料プランに加入し、端末を英語設定にした利用者に限られる。それでもCall for Meは、電話の「かける・待つ・話す」という一連の作業のうち、どこまでをAIに任せられるかの線引きを具体的な条件つきで示した最初の事例になる。対象がどこまで広がるか、この先の展開を追う価値がある。

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