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Moss-Imageが無料公開、日本語の文字も描ける画像生成AIに

画像生成AI「Moss-Image」がApache 2.0ライセンスで公開された。商用利用も無料で、ComfyUIで導入でき、ステップ数を増やせば日本語の文字も安定して描ける。

スタイラスペンを持った手がデジタルタブレットに触れようとしている様子

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Jakub Zerdzicki on Pexels

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SNS用の告知画像やバナーに日本語の文字を入れたいとき、無料の画像生成AIを試して、文字が崩れたり、商用利用を禁じるライセンスだったりして諦めたことはないだろうか。2026年10月16日に公開された画像生成AI「Moss-Image」は、この悩みに答えうるモデルだ。重みと推論コードがApache 2.0ライセンスで公開されており、商用利用・改変・再配布を含めて無償で使える(Hugging Face公式モデルカード)。レイアウトをJSON形式で指定するだけで、日本語の文字入り画像も作れるという。

無料で使えるライセンスと言われると、今度はどこまで自由に使えるのか、自分のPCで本当に動くのかが気になってくる。

商用利用まで認める無料ライセンス

開発元は、中国・上海のOpenMOSS Teamだ。復旦大学の邱錫鵬教授の研究チームが事業化し、MOSI Intelligence(模思智能)と連携して開発している(ASCII.jp)。公開されたのは50億(5B)パラメータのモデルだ。ASCII.jpの新清士氏による実機検証では、「商用利用・改変・再配布・製品への組み込みを認める」ライセンスだと説明されている(ASCII.jp)。Hugging Face公式モデルカードも、重みと推論コードがApache 2.0ライセンスのもとで配布されているとしている(Hugging Face公式モデルカード)。

導入の手間も大きくない。画像生成ツール「ComfyUI」の最新版なら、テンプレートから「Moss」と検索するだけで見つかる(ASCII.jp)。公開されているのは2種類で、普段の生成には追加学習済みの「SFT版」、自分の作風に寄せて追加学習したい場合はSFTをかけていない「Base版」を選ぶ。

動作環境の条件も重くはない。Hugging Face公式モデルカードは、Python 3.10以上・CUDA対応のNVIDIA GPU・PyTorch 2.9以上を推奨すると書いている(Hugging Face公式モデルカード)。NVIDIA製のグラフィックボードを積んだWindows・LinuxのPCなら、追加の契約や支払いなしに試せる条件だ。技術的な詳細は、開発チームが公開した技術報告書にまとめられている(arXiv)。

ライセンスも導入の手間も分かった。気になるのは、肝心の日本語の文字がどこまできれいに描けるかだ。

日本語の文字はどこまで描けるか

画像生成AIは、ノイズだらけの画像を少しずつ整える作業を繰り返して1枚を仕上げる。この繰り返しの回数を「ステップ数」と呼ぶ。回数を減らせば速く仕上がるが、細部の精度は粗くなる。

ASCII.jpの新清士氏は、生成を速くする「8ステップの高速版LoRA」を使って「アスキー旅行」という文字を指定したところ、「アスキン旅行」に崩れてしまったと報告している。ステップ数を16に増やすと、品質は大きく改善したという(ASCII.jp)。

開発チーム自身の評価でも、長文のテキスト描画を測るベンチマークで、オープンウェイトモデルの中で最高水準に達し、文字が正しく収まる割合(カバー率)は平均96.3%だとしている(arXiv)。ただしこの評価の対象は英語と中国語で、日本語への言及はない。日本語の文字がきれいに描けると確認できているのは、ASCII.jpが実際に試した範囲までだ。

0306090120秒16ステップ: 約30秒8ステップ(高速版): 約20秒50ステップ(標準): 1分30秒〜2分50ステップ(標準): 1分30秒〜2分1分30秒〜2分約30秒約20秒50ステップ(標準)16ステップ8ステップ(高速版)

このグラフは、新清士氏がRTX 3090相当のGPU(A6000)で計測した値だ(ASCII.jp)。非力なGPUではこれより時間がかかる。8ステップから16ステップに増やしても、1枚あたりの時間は10秒ほどしか変わらない。文字を使う用途なら、速さを削ってでも16ステップを選ぶ余地は十分にある。

文字は解決策が見えた。では、漫画のようにコマ割りや吹き出しまで指定する使い方はできるのだろうか。

漫画も作れるが向かない使い方も

Moss-Imageは、文字や物体の配置をJSON形式で細かく指定できる。新清士氏は、雨の夜の修理屋を舞台にした6コマ漫画のプロンプトを作り、吹き出しやナレーションの文字まで個別に指定して生成を試みている(ASCII.jp)。コマ割り・配置座標・吹き出しの文言をすべてJSONで書き下すと、1本の指示文だけで数十行におよぶ。

新清士氏はこの指示文自体を、人が手で書くのではなく大規模言語モデルに作らせたと述べている。実写風の旅行広告を作った別の作例でも、文字の配置構成はGPT-6 Astraに考えさせたという(ASCII.jp)。画像を作るAIと、その指示文を組み立てるAIを分けて使う形になる。

ここには留保がいる。今のMoss-Imageには、参照画像でキャラクターの見た目を固定する機能がない。同じプロンプトでもシード値が変わると、毎回別人になってしまう(ASCII.jp)。続きものの漫画や、同じキャラクターを使い回す広告素材を作りたい人には、この制約が直接ひびく。

この制約を踏まえても、公開からの反応は小さくなかった。

公開10日で200万ダウンロード

Moss-Imageは、公開からわずか10日でダウンロード数が約200万に達したという(ASCII.jp)。

無料でここまでのモデルを配る以上、開発元の懐事情も気になるところだ。OpenMOSS Teamは研究チームのまま終わらず、事業会社のMOSI Intelligenceとして2025年4月にエンジェルラウンド、同年10月にPre-Aラウンドの資金調達を済ませている。出資者には華控基金や上海科創集団、国開科創といった名前が並ぶという(ASCII.jp)。モデル自体を無償で配っても、投資を受けた事業として成立させる見込みがあるという判断があるのだろう。

自分が引っかかったのは、50億パラメータという、今の大型画像生成AIと比べれば小さい部類のモデルが、構造物の描写や文字入りデザインまで一定水準でこなしてしまう点だ。ASCII.jpの実機検証でも、従来のオープンウェイトモデルが苦手としがちな自転車や橋のような複雑な形状を、崩さずに描けたと評価されている(ASCII.jp)。本サイトでも10月にFLUX 3 Image Kleinというオープンウェイトモデルを扱ったが、あちらは年間売上500万ドル未満の個人・企業に限って無償という条件付きだった。Moss-Imageは、その条件すら付けずに商用利用を認めている。

ASCII.jpの新清士氏は、この流れを「画像AIモデル単体では事業化が難しい段階に入りつつある」兆しだと見ている(ASCII.jp)。自分も、無償かつ無条件で商用利用まで許すモデルがこれだけ短期間で広がった以上、次に差がつくのはモデルそのものより、キャラクターを固定するリファレンス機能のような周辺機能になっていくのだろうと感じた。

まとめ

Moss-Imageは、重みと推論コードをApache 2.0ライセンスで公開し、商用利用・改変・再配布を無条件で認める画像生成AIだ。ComfyUIに「Moss」と検索すれば導入でき、NVIDIA製GPUを積んだPCなら追加の支払いなしに動かせる。生成のステップ数を16以上にすれば、日本語の文字も安定して描ける。

一方で、同じキャラクターの見た目を保つ参照機能はまだ無く、続きものの漫画や広告素材の量産には向かない。公開10日で約200万ダウンロードという広がりの速さは、無料かつ無条件で商用利用までできるモデルへの関心の高さを示している。

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