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AIの性格診断、答える言語で結果が変わると判明

ChatGPTなどに同じ性格診断を英語と中国語で受けさせた研究で、点数が大きく動くことが分かった。動く方向はモデルごとに違い、開発元の言語だけでは説明できないことも、実測値で見えてきた。

色とりどりの吹き出し形のオブジェが並んだ写真

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Hamza Samad on Pexels

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ChatGPTに「性格診断をやって」と頼み、出てきた答えを「このAIはこういう性格らしい」と面白がった経験がある人は多いはずだ。では、同じ質問を英語ではなく中国語で聞いたら、同じ答えが返ってくるだろうか。

中国科学技術大学などの研究チームが2026年9月、この問いを実際に測定した論文を学術誌Royal Society Open Scienceで発表した。答えは「変わる」だった。しかも、変わる方向にはモデルごとに違う規則性があり、「開発した会社の母語で聞けば、その文化に寄った答えになる」という単純な予想を超える動き方をすることが分かった。

言語を変えると点数はどう動くか

研究チームが使ったのは、人間の性格診断にも使われる「Big Five Inventory-2」という尺度だ。心理学の研究や採用面接の補助など、人間の性格を測る場面で広く使われてきた、検証済みの質問紙になる。開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向という5つの特性を、60個の質問への回答から5点満点でスコア化する。

対象にしたのはChatGPT-4o、Gemini 2.0 Flash、DeepSeek-V3、Ernie 3.5、Le Chatという5つのAIだ。人間のふりをせず「自分自身として」答えるよう指示し、英語と中国語で、それぞれ30回ずつ回答させた。フランス企業が作ったLe Chatだけは、フランス語でも試している。

5特性のうち「開放性」で、具体的な数値が報道で確認できた。開放性は、新しい考え方やものごとへの好奇心の強さを示す項目だ。

012345ChatGPT-4o 英語: 4.74ChatGPT-4o 中国語: 4.03DeepSeek-V3 英語: 4.38DeepSeek-V3 中国語: 4.814.744.034.384.81ChatGPT-4o英語ChatGPT-4o中国語DeepSeek-V3英語DeepSeek-V3中国語点

米OpenAI製のChatGPT-4oは英語のほうが開放性が高い。中国DeepSeek製のDeepSeek-V3は逆に、中国語のほうが高い。この数値はTechXploreとGIGAZINEの両記事が一致して報じている。満点5点のスケールで見ると、ChatGPT-4oの揺れ幅は0.71点、DeepSeek-V3は0.43点にのぼる。全体の1〜2割が、使う言語だけで動く計算だ。ここだけ見ると、「開発元の会社と同じ言語で聞くと、その文化らしい答えが強く出る」という、わりと素直な話に見える。

なぜ答える言語で点数が動くのか

点数が動く理由を、研究チームは1つに絞り切れていない。候補は3つ挙がっている。

  • 学習データに含まれる、言語ごとの文化的な傾向
  • 言語によって質問文の翻訳が微妙に違うニュアンスを帯びること
  • 「性格診断だと分かる形式の質問には、社会的に望ましい答えをしやすい」という、心理学でよく知られたバイアス。面接で「自分は几帳面な性格だ」と答えやすくなるのと同じ現象が、人間を対象にした過去の研究で報告されている

AIの場合も、同じバイアスが訓練の過程で入り込んだ可能性がある。これら3つがどの程度ずつ効いているかは、今回の研究では切り分けられていない。

ここで押さえておきたいのは、AIに「英語の人格」と「中国語の人格」という、2つの固定された人格が内蔵されているわけではない、という点だ。AIは、言語ごとに学習した大量の文章のパターンから、そのつど確率の高い続きの文を生成している。同じ性格診断の質問でも、答える言語が変われば参照する文章のパターンが変わる。結果として、点数も動く。

点数を動かしているのは、AIが持つ一貫した「人格」ではなく、言語ごとの学習データに含まれる傾向だ。

Geminiだけ母語バイアスから外れる

ところが、この「母語バイアス」のような説明だけでは片づかない例がある。TechXploreの記事によると、米Google製のGemini 2.0 Flashは、英語より中国語で答えたときのほうが誠実性が高い。ネガティブな感情(神経症傾向)のスコアも、中国語のほうが低い。英語圏の企業が作ったモデルのはずなのに、中国語で答えたときのほうが、きちんとした感情の安定した像に寄る。ChatGPT-4oと同じ非中国圏企業のLe Chat(仏Mistral AI製)も、英語のほうが協調性・誠実性・開放性が高い。ChatGPT-4oと同じ傾向だ。Geminiだけが、この傾向からはずれている。

自分はここで一度止まった。ChatGPT-4oとDeepSeek-V3の数字だけを見て、「開発元の言語で聞けば、その文化に寄った性格になる」という単純な話を予想していた。その予想を、Geminiの結果が崩した。TechXploreの記事も、変化の起き方は単純な規則に沿わず複雑だったと伝えている。開発元の国籍から、答えの動く方向をそのまま予測できるわけではない。

全モデルに共通する傾向もある。言語を問わず、どのAIも自分を協調的で信頼できる、ネガティブな感情の少ない存在として好意的に評価する。これが、人を助けるよう訓練された影響なのか、人間の文章に見られる好意的な自己描写のパターンを引き継いだ影響なのかは、今回の研究では切り分けられていない。

この研究が測ったのは、AIに「自分自身として」答えさせた性格診断の点数だ。実際の会話の中で、AIの振る舞いが言語ごとにどれだけ変わるかは、別に確かめる必要がある。比較に使った人間側のデータも、国ごとに年齢層や集め方が違う。中国のサンプルは大学生のみだった点は、研究チーム自身が限界として記している。

多言語でAIを使う人への注意点

この結果は、研究室の中だけの話ではない。多言語対応のAIチャットボットや、AIキャラクターの人格を設計する人にとっても関係がある。「このAIは協調性が高い」「このAIは誠実だ」という評価を、1つの言語だけで測るとする。その評価を、そのAIの性格として多言語展開にそのまま使うと、別の言語を使う利用者には違う印象のAIとして映る可能性がある。評価や検証をするときは、どの言語で測った結果かをあわせて書き残すことが、取り違えを防ぐ具体的な手立てになる。

まとめ

同じAIモデルに同じ性格診断を受けさせても、答える言語によってスコアは動く。ChatGPT-4oとDeepSeek-V3では満点5点のうち0.4〜0.7点ほどが、言語だけで動いた。動く大きさも方向もモデルごとに違い、「開発元の会社の言語で聞けば、その文化に寄った答えになる」という単純な説明では、Geminiのような例を取りこぼす。多言語でAIを使う・評価する人は、1つの言語で測った自己申告の結果を、そのAIの「性格」として一般化しない方がいい。どの言語で測った結果かを明記することが、今回の研究が示した具体的な教訓になる。

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