配布資料を二つ折りにして小冊子にしようとしたら、真ん中のページだけホッチキスが届かず、紙がふくらんで閉じにくくなった。そんな経験がある人は、実は専用の道具が要る作業をしていた。
マックスは2026年8月18日、中とじホッチキス「HD-10V ホッチくる」のリニューアルを発表し、9月15日に発売した。本体を回転させるだけで、普通のホッチキスと中とじ専用の道具を1台で兼ねる。今回はそこに、位置合わせを目算に頼らずに済ませる目盛とラインが加わった。普通のホッチキスと何が違うのか、公式発表から確認する。
普通のホッチキスが中とじを苦手とする理由
紙を折って冊子にするとき、真ん中の折り目(ガター)をとじる作業を「中とじ」と呼ぶ。普通のホッチキスは、上から下へまっすぐ針を打ち込む形しか作れない。折った紙の内側に本体を差し込んで針を打つには、本体の向きそのものを変える必要がある。平とじ専用に作られたホッチキスは、この向きを変える機構を持たない。
ここで、中とじ専用の機構を持つホッチキスがあるとどうなるかが気になる。
回転で平とじと中とじを切り替える
公式発表でマックスは、この製品を「マガジン部分を回転させることで”中とじ”を簡単に行うことができるホッチキス」と説明している。小冊子や旅行のしおりの製本を想定した機構だという。
自分はこの製品を見るまで、ホッチキスは紙を平らにとじるだけの道具だと思っていた。回転させると使い方そのものが変わる、という発想を知らなかった。マガジン部分(針を送り出す本体上部)を回して向きを変えることで、折った紙の内側へ本体を差し込み、そのまま針を打てる形に変わる。とじる機構自体は普通のホッチキスと同じメガネクリンチ方式のままで、針の出る向きだけを回転で切り替えている。
平とじと中とじを別の道具として持たなくても、1台で両方をまかなえる。ここまでは「中とじホッチキス」というジャンル自体の話で、ホッチくるに限った機能ではない。では今回のリニューアルで、具体的に何が新しくなったのか。
リニューアルで加わった位置合わせの目印
今回のリニューアルで搭載されたのは、次の2つの機能になる。
- 奥行き目盛: 中とじの奥行きを均等に揃えるための目盛で、最大70mmまで対応する
- とじ位置目安ライン: 針が打ち出される箇所に目印のラインを付け、とじる位置を狙いやすくした
マックスの説明では、これに加えてクリンチャアーム(本体の下部分)をスチールで補強し、とじるときの安定性を高めた。利用者から要望の多かった、とじ直し用のリムーバも新たに搭載したという。
この製品には、1998年に発売した初代モデルがある。2025年にいったん販売を終えたが、「中とじがしやすくて便利だった」「後継機種を発売してほしい」という声を受けて、今回機能を追加してリニューアル発売した。一度終売した製品が、利用者の要望で機能を足して戻ってきた格好だ。何が新しく加わったかを見ると、旧モデルで足りなかった部分も見えてくる。加わったのは、どちらも「回転させて中とじに切り替えたあと、そこから先の位置合わせ」を助ける機能だった。それまでは、折り目からどれだけ奥まで、どの位置に針を打つかを目算で決めるしかなかったということになる。
奥行き目盛とラインで位置を追い込めることが分かったところで、次はどのくらいの厚さの冊子までとじられるのかが気になる。
とじられる枚数とページ数には上限がある
商品仕様のうち、製本できる厚さに関わる項目は次のとおりになる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| とじ枚数(通常針) | 最大15枚(PPC用紙64g/m²) |
| とじ枚数(カラー針No.10-1M) | 最大8枚 |
| 製本可能ページ数 | 最大60ページ(中折り両面印刷) |
| とじ奥行き | 最大70mm |
| 本体サイズ・重量 | H51×W24×D124mm・83g |
この表は、どれだけの厚さの冊子までホッチくるでとじられるかを示している。学級新聞や行事案内のような数ページの配布物、ZINEや同人誌のような薄めの自主出版物であれば、この上限の範囲に収まることが多い。
向く人と向かない人
向くのは、保育園・幼稚園・学校で配布資料や小冊子を作る担当者や、ZINE・同人誌を自宅やオフィスで制作する人になる。マックス自身も「保育園や幼稚園・学校での小冊子づくり」「ZINE・同人誌などの自主出版物」を今回の開発の背景として挙げている。
向かないのは、先ほどの表の上限を超える厚い冊子を作りたい人だ。それだけの厚みが必要な製本には、別の方法を検討したほうがよい。
価格は希望小売価格950円(税込1,045円、2026-09-20確認)。カラーはホワイトとブルーの2色で、全国の文具店、量販店、通販、書店、雑貨店を通じて販売される。
まとめ
「HD-10V ホッチくる」は、本体のマガジン部分を回転させることで、平とじ用の普通のホッチキスと中とじ専用の道具を1台で兼ねる。今回のリニューアルでは、位置合わせを助ける「奥行き目盛」(最大70mm)と「とじ位置目安ライン」が新たに加わった。とじられるのはPPC用紙64g/m²で最大15枚、冊子換算で最大60ページまでという上限はある。それでも、配布資料や薄めの自主出版物を作る人には、位置ズレを気にせず中とじができる選択肢になる。価格は税込1,045円で、9月15日から全国の文具店などで販売されている。
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