スマホの画面で長い文章を読み続けると、目が疲れる。文字を大きくすれば1行に入る情報が減り、結局スクロールの回数が増える。かといってiPad miniは、Apple公式ストアでWi-Fiモデル128GBでも99,800円(税込、2026-09-28確認)する。本を読みたいだけなのに、10万円は出しづらいという人は多いはずだ。
8.8型のAndroidタブレット「PHILIPS T7250」の実売価格は、128GBモデルで41,980円(税込)。PC Watchが2026年9月時点で確認した数字で、iPad miniの半分以下だ。それでいて、画面の精細さを表す指標ではiPad miniを上回る。PC Watchの山口真弘氏が実機を購入して確かめた内容をもとに、何がどう違うのかを見ていく。
安いタブレットが削るもの
Androidタブレットが数万円で買えるのは珍しくない。ただし、画面の解像度を抑えて価格を下げている機種は多い。動画配信サービスの高画質再生にも条件がある。NetflixやAmazonプライムビデオなどは、著作権保護の仕組み「Widevine」の認証レベルで画質を制限している。上位の「Widevine L1」に対応していないと、HD画質では見られない。ウインタブの解説記事によれば、下位の「L3」対応機ではSD画質までに制限されるケースが多いという。
T7250は、2,560×1,600ドット・最大90HzというIPS液晶に加えて、このWidevine L1にも対応している。PC Watchの記事は「動画まわりではWidevine L1にも対応している」と実機で確認している。電子書籍だけでなく、動画配信も高精細に楽しめる仕様だ。では、画面の精細さは具体的にどれくらい違うのか。
解像度だけでは分からない精細さ
T7250の解像度は2,560×1,600ドット。iPad mini(A17 Pro)はApple公式の仕様ページによれば2,266×1,488ドットだ。数字だけを比べると、T7250の方が大きい。自分もこの数字を見て、最初はT7250の方が精細だと早合点しかけた。だが、それだけでは比べられない。画面のサイズが違うからだ。
画面のサイズが違うと、同じ解像度でも画素の密度は変わる。T7250は8.8型、iPad miniは8.3型で、画面が大きい分だけ画素は間延びする。精細さを比べるには、画面サイズで割った「画素密度(PPI、1インチあたりの画素数)」を見る必要がある。対角のピクセル数を画面のインチ数で割れば、この数字は自分でも検算できる。実際に計算し直すと、T7250は約343.1ppi、iPad miniは約326.7ppiとなり、PC Watchの記事が示す343ppi・326ppiと一致した。画素密度で比べると、価格が半分以下のT7250が、iPad miniを上回っている。
その他の項目も含めて比べると、次のようになる。
| 項目 | PHILIPS T7250 | iPad mini(A17 Pro) |
|---|---|---|
| 画面サイズ | 8.8型 | 8.3型 |
| 解像度 | 2,560×1,600ドット | 2,266×1,488ドット |
| 画素密度 | 343ppi | 326ppi |
| リフレッシュレート | 最大90Hz | 記載なし(ProMotionの表記なし) |
| 画面の明るさ | 350ニト | 500ニト |
| 価格(128GB・税込) | 41,980円(2026年9月時点) | 99,800円 |
表の数字が示すのは、価格が半分以下でも画素密度では負けていないという事実だ。一方で、明るさはiPad miniの方が上回る。PC Watchの記事は「iPad miniとは画面が若干暗い印象はあるが、これはiPad miniが500ニトと非常に明るめなためだろう」と書いている。屋外や明るい部屋で使う時間が長い人は、この差を体感しやすい。では、この安さは何を削って実現しているのか。
「24GBメモリ」の実態
ここまで見ると、T7250はiPad miniの上位互換のように思えてくる。だが、購入前に確認しておきたい数字がもう1つある。Amazon.co.jpの商品ページは「24GB RAM」という数値を大きく打ち出している。24GBといえば、ノートPC並みのメモリ量だ。
しかしPC Watchの記事は、実機を確認したうえでこう説明している。「メモリは8GB。仮想メモリが最大16GBまで利用できることから、Amazonの製品ページではその合計である24GBという数値を大きくアピールしているが、物理メモリはあくまで8GBなので注意したい」。仮想メモリは、ストレージの一部を一時的にメモリの代わりに使う仕組みで、実際の処理速度は物理メモリに劣る。自分も最初は「24GB」という数字だけを見て高スペック機だと思ったが、内訳を知って読み違えに気づいた。
多くのアプリを同時に開いたり、重いゲームを長時間動かしたりする使い方には、物理8GBという実際の値を踏まえて考えた方がいい。電子書籍や動画を1つずつ開いて使う分には、影響は出にくい。こうした点を踏まえると、この機種はどんな人に向くのか。
向く人と向かない人
- 向く人: 電子書籍や動画配信を中心に使いたいが、iPad miniの価格には踏み切れない人。画素密度で見劣りしない画面と、Widevine L1によるフルHD再生を4万円台で確保できる
- 向かない人: 重いゲームや多数のアプリを同時に動かしたい人。物理RAMが8GBである以上、iPad miniのA17 Proチップほどの余裕は見込みにくい
もう1つ、確認しておきたいのが価格の動きだ。T7250は今春の登場時点で3万円台半ばだったが、品薄のため4万円台前半まで上昇してきた。PC Watchは「対するiPad miniはここ2年で約2万円以上も値上がりしている」とも指摘しており、双方とも価格が動きやすい。購入するなら、直近の実売価格を確認した方がいい。
まとめ
PHILIPS T7250は、8.8型・2,560×1,600ドットの画面を持つAndroidタブレットだ。画素密度(343ppi)はiPad mini(326ppi)を上回る。価格は128GBモデルで41,980円と、iPad miniの99,800円の半分以下だ。Widevine L1に対応し、動画配信もフルHDで再生できる。
Amazon表示の「24GB RAM」は物理8GBと仮想16GBの合算で、実際のメモリ量は8GBである点は踏まえておきたい。画面の明るさもiPad miniの方が上回る。それでも、画素密度と価格という2つの軸で見れば、iPad miniに手が届かなかった人にとって現実的な選択肢になる。
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