Thunderbolt 5のノートパソコンを買って、自宅やオフィスの10GbE配線につなごうとする。そのとき、たいていドッキングステーションのACアダプタがもう1本デスクに増える。Sonnet Technologiesが2026年10月1日(現地時間9月30日)に発売した「Solo10G T5」は、この電源アダプタを省ける。外部電源なし、Thunderboltの接続だけから取る7.5Wのバスパワーのみでフル10Gbpsを通す。
電源なしでフル10Gbpsを通す
Solo10G T5(型番SOLO10G-TB5)は、RJ45ポートを1つ備えたThunderbolt 5接続のアダプタだ。対応速度は10Gbps・5Gbps・2.5Gbps・1Gbpsで、接続先に合わせて自動的に切り替わる。これはNBASE-Tという規格が決めている仕組みで、オフィスの古い配線でも使えるようにする。ネットワークコントローラはMarvell製のAQC113Cで、ケーブルは手持ちのCat 6なら55m、Cat 6Aなら100mまで10Gbpsの接続を保てる。
対応デバイスは次のとおり。対応OSはmacOS 15以降、Windows 11の25H2以降、Linuxカーネル6.6以降と指定されている。
- AppleのMシリーズを積んだMac全般
- Mシリーズを積んだiPad Pro
- Thunderbolt 5・4・USB4搭載のWindows/Linux PC
本体は79.5×114×27.2mm・重量260g(本体のみ)で、0.3mのThunderbolt 5ケーブルが付属する。
ここまでは「速いLANアダプタが出た」という話に見える。本題は、この速度を電源アダプタなしの7.5Wだけで出している点にある。では、バスパワー駆動の10GbEアダプタ自体は、今回が初めての試みなのか。
バスパワー自体は新しくない
答えは「いいえ」だ。Sonnet自身が2018年に発売したThunderbolt 3版「Solo10G」(型番SOLO10G-TB3、現在は販売終了)がある。この旧モデルも、公式ページに「バスパワー型で、電源アダプターが不要」と明記されている。つまり、外部電源なしで10GbEを動かすという発想自体は、同じメーカーが8年近く前からやっていたことになる。
自分はここで一度止まった。「業界初のバスパワー駆動」という紹介を見て、今まで誰も実現できなかった技術のように思い込みかけたからだ。調べ直すと、新しいのは「バスパワー駆動」そのものではなく、別のところにあった。
世代が変わっても省電力を保った
Thunderbolt 5は、Thunderbolt 3・4より転送帯域が大きく広がった規格だ。帯域が増えるほど、それを処理するチップは電力を必要としやすい。実際、同世代の10GbE対応ドッキングステーションは軒並み大きな電源を積んでいる。OWCの「Thunderbolt 5 Dual 10GbE Network Dock」は、90W(20V・4.5A)の外部電源を同梱する。CalDigitの「TS5 Plus」は330Wの電源を同梱する。
| 製品 | Thunderbolt世代 | 電源 |
|---|---|---|
| Solo10G(SOLO10G-TB3) | Thunderbolt 3 | バスパワー(外部電源なし) |
| Solo10G T5(SOLO10G-TB5) | Thunderbolt 5 | バスパワー7.5W(外部電源なし) |
| OWC Thunderbolt 5 Dual 10GbE Network Dock | Thunderbolt 5 | 90W外部電源同梱 |
| CalDigit TS5 Plus | Thunderbolt 5 | 330W外部電源(PSU) |
ドッキングステーションは10GbE以外にもUSBポートや映像出力など多数の機能を1台にまとめているため、単体のLANアダプタと電源要件を単純比較はできない。それでも、90W・330Wという数字の並びの中にSolo10G T5の7.5Wを置くと、自分には桁が一つ以上違って見えた。
Sonnet自身も、製品ページの見出しで自社をそう位置づけている。「THE ONLY THUNDERBOLT 5 10GbE ADAPTER」(Thunderbolt 5接続の10GbEアダプタはこれだけ)という文言だ。この「唯一」はSonnet自身の説明であり、本サイトが市場に出ている製品を全数調べて確認した言葉ではない。実際、同じく外部電源不要をうたう単体アダプタもある。CalDigitの「Connect-10G」がその一例だが、公式ページにThunderbolt 5対応の明記がなく、現在は在庫切れのため今回の比較には含めていない。
言えるのはここまでだ。Thunderbolt 5の世代でも、電源アダプタなしでフル10Gbpsを通すという選択肢が、少なくとも1つ増えた。
向く人向かない人と価格
向くのは、Thunderbolt 5のMacやPCに10GbEを1ポートだけ足したい人だ。USBハブや映像出力まで含めた多機能ドッキングステーションが既に手元にあり、そこにLANポートだけが足りない、という場面にも合う。
向かないのは、1台でUSB・HDMI・LANをまとめて増やしたい人だ。その場合は最初から多機能なドッキングステーションを選んだほうが配線が減る。また、日本国内の発売日・価格・取扱代理店は2026年10月1日時点でSonnetの公式ページに記載がなく、今すぐ国内で確実に入手したい人にはまだ早い。
価格は米国の公式ストアで199.99ドル(2026年10月1日確認、在庫あり)。この価格は米国ドルの表示額で、日本の消費税のような付加税の有無は販売元の表示に含まれていない。保証期間は2年、動作温度は0℃から35℃と指定されている。
まとめ
Solo10G T5は、外部電源アダプタなし、Thunderbolt接続からの7.5Wバスパワーだけでフル10Gbpsの有線LANを使えるアダプタだ。バスパワー駆動という発想自体はSonnetの旧モデル(Thunderbolt 3版Solo10G)にもあり、目新しい技術ではない。
本当に新しいのは別の点にある。転送帯域が広がったThunderbolt 5の世代になっても、同世代のドッキングステーション(90W・330W級)のような大きな電源を要らなくした点だ。現時点で価格を確認できるのは米国の公式ストア(199.99ドル)で、Thunderbolt 5環境に10GbEを1ポートだけ足したい人の選択肢が増えたことになる。
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