防災リュックや旅行かばんに入れる小さなFMラジオを探して、売り場やAmazonの説明欄を眺めたことはないだろうか。手のひらに収まるサイズの製品ほど、スピーカーの欄には「モノラル」と書かれていることが多い。FIIOが2026年10月9日に発売する「RR13」は、その前提を崩す。現行の代表的なポケットラジオより小さく軽い本体のまま、本体のスピーカーだけでステレオ再生ができる。FIIO公式ページと、日本の正規代理店エミライの発表を伝えるAV Watchの記事で確認できる。
現行のポケットラジオはなぜモノラルなのか
「小さいラジオはモノラル」が本当かどうかを、現行品で確かめてみる。ソニーの「ICF-51」は本体サイズ101.7×67.8×33.8mm・重さ112.8gで、スピーカーは3.6cm径・出力80mWのモノラル1基だけだ。ソニー公式の仕様ページには「本体スピーカーはモノラル再生のみで、ステレオ再生には対応していません。イヤフォン接続時も同様です」とある。
自分はイヤフォンを挿せば自動でステレオになるものだと思い込んでいたので、イヤフォン端子があってもモノラル固定のまま、という設計がありうることに驚いた。左右の耳に同じ信号を送るだけなら、それはステレオではなく出口が2つあるモノラルにすぎない。
では、本体のサイズを保ったままステレオを鳴らすには、何を変える必要があるのか。
RR13は小さいままステレオを鳴らす
RR13の外形寸法は約43.4×85.6×16.4mm、重さは約76g。ICF-51より一回り小さく、重さも3分の2近くまで軽い。
重さだけを見ると、RR13は小さく軽いぶん機能も削られていそうに見える。ところがFIIO公式ページによれば、RR13はこの本体に「極薄の5マグネットスピーカー」と「2基の独立アンプ」を内蔵する。本体のスピーカーだけでステレオを再生できる構成だ。FIIOが自社でチューニングした「DDB」というアナログオーディオ/アンプチップが、この2基のアンプを駆動している。
このスピーカーとアンプの組み合わせが、なぜ小さな筐体でステレオを成立させているのか、FIIOは技術的な理由までは説明していない。分かるのは、ICF-51がスピーカー1基・アンプなしで完結しているのに対し、RR13は本体を小さくしながら中身の部品点数をむしろ増やしている、という事実だけだ。
本体を小さくするほど機能を削るのが普通、という予想は、ここで裏返る。
ラジオとアンプを兼ねる1台
RR13は専用のデジタル-アナログ変換ケーブルをつなぐと、USB-C接続のドングル型ヘッドフォンアンプに早変わりする。このケーブルは別売で、FIIOは「TRUST series」のType-C to Type-Cケーブルを推奨している。音楽配信やインターネットラジオを再生するときも、本体が持つ「MAGIC BASS」という音響効果(BASS+3D、OFF/1/2の3段階)をかけられる。(AV Watchの記事)
つまりRR13は、電波を受信するラジオと、USB-C経由で音を増幅するアンプという、普通なら別々の製品棚に並ぶ2つの役割を1台にまとめている。
ここまでの機能を持つラジオを、実際に選ぶ前には何を確認しておけばいいのか。
向く人・向かない人
向く人は次のとおり。
- 小さく軽い本体のまま、スピーカーでもステレオ感のある音を聞きたい人
- ラジオとヘッドフォンアンプを1台で兼ねたい人
- 電池を使い捨てにせず、充電して繰り返し使いたい人
向かない人は次のとおり。
- 電池切れのときに単3・単4形の市販アルカリ電池で済ませたい人。FIIO公式ページによれば、RR13の電源は「450mAhの10440形リチウムイオン電池」で、単4形と外形は近いが規格が異なる専用セルだ。コンビニなどではまず手に入らない
- ドングルアンプとして使うたびに、別売の変換ケーブルを用意したくない人。本体には同梱されていない
自分が一番気になったのは、この電池の規格だ。「交換できる」と聞くとコンビニで単3・単4を買い足せる想像をしてしまうが、10440は専用の充電池だ。予備を持つなら、あらかじめネット通販などで入手しておく必要がある。
気になる点がもう一つある。AV Watchの記事によると、日本向けの発売日は2026年10月9日。市場想定価格は11,880円前後(Black/Silver/Red/Goldの4色、2026年10月2日時点)だ。この価格はFIIO公式サイトではなく、日本の正規代理店エミライの発表による。税込表記かどうかはこの発表に明記がなく、発売後にあらためて確認したい。
まとめ
RR13は約43.4×85.6×16.4mm・76gの本体に、5マグネットスピーカーと2基の独立アンプを積んだ小型FMラジオだ。現行の代表的なポケットラジオ(ソニーICF-51)より小さく軽い。本体のスピーカーだけでステレオ再生ができ、USB-C接続でドングル型ヘッドフォンアンプにもなる。電源には交換式の10440形リチウムイオン電池が使われている。日本では2026年10月9日に、市場想定価格11,880円前後で発売される。電池の規格と、価格が税込かどうかは、購入前に確認しておきたい。
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