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Firefoxの新機能、動画以外のページも常に最前面に出せる

Firefox 160のベータ版に「ミニウィンドウ」が加わった。動画専用だったピクチャーインピクチャーの発想を、任意のWebページやその一部にも広げた機能を確かめた。

指輪をした手がノートパソコンのキーボードを打っている様子

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by RDNE Stock project on Pexels

レシピを見ながら調理する。資料を見ながら、別のタブに文章を入力する。動画なら、ブラウザの「ピクチャーインピクチャー」機能で画面の隅に固定できる。しかし同じことを、レシピや資料のような動画以外のページでやろうとすると、これまでのFirefoxではできなかった。

Firefox 160のベータ版に、この隙間を埋める新機能「ミニウィンドウ(Mini Window)」が加わった。公式のベータ版リリースノートは、この機能を「タブや、ページの選んだ一部分を、閲覧中ずっと最前面に表示されるウィンドウへ移せる」機能と説明している。タブ単位だけでなく、ページの中の好きな範囲も切り出せる。どんな場面で使え、今すぐ試すには何が必要か、公式リリースノートと海外メディアのハンズオン記事、Mozilla公式のバグ管理システムを確かめた。

ピクチャーインピクチャーと何が違うのか

ピクチャーインピクチャー(PiP)は、動画プレーヤーの一部を画面の隅に切り出す機能だ。切り出した小窓は、ブラウザを裏に回しても、別のアプリを前面に出しても、画面の上に表示され続ける。この性質を、ベータ版リリースノートは新機能の説明で「always-on-top window(常に最前面のウィンドウ)」と呼んでいる。「他のウィンドウより常に上に表示される」という意味だ。PiPが持つこの性質を、動画以外にも使えるようにしたのがミニウィンドウになる。

海外メディアpiunikawebのハンズオン記事によると、PiPは動画の再生領域に限られる。一方のミニウィンドウは、任意のWebページや、ページの一部分を同じように浮かせられる。レシピサイトの材料リストだけ、チャットツールの会話欄だけ、という形で、ページの中の見たい部分だけを常に最前面に置いておける。

どうやって使うのか

piunikawebの記事が確認した時点での使い方は、次の2通りになる。

  • タブごと切り出す: タブを右クリックし、ミニウィンドウへ送る
  • ページの一部だけ切り出す: ページ上で右クリックし、残したい範囲を選ぶ

ここで自分が驚いたのは、切り出せる単位がタブ全体だけではない点だ。てっきりPiPと同じように「1つのコンテンツをまるごと浮かせる」機能だと予想していたが、実際はページの中の好きな範囲を四角で選び、そこだけを切り出せる。レシピページなら、写真や広告を含むページ全体ではなく、材料リストの部分だけを浮かせられる。必要な範囲だけを浮かせれば、残りの画面は普段どおり別の作業に使える。

浮かせたウィンドウは、元のブラウザウィンドウからは姿を消す。閉じるか、元のタブへ戻す操作をするまで、画面の上に表示され続ける。リンクをクリックした瞬間に直接ミニウィンドウで開く「Open in Mini Window」という機能は、piunikawebの記事の時点ではまだ実装されていない。この機能はMozillaが検討中とされている。

どんな作業で役に立つのか

ページの一部だけを常に最前面に置ける、という性質は、画面を2つに割らずに「見ながら作業する」場面で役に立つ。オンライン会議の資料を見ながら別のアプリにメモを取る、翻訳結果を見ながら元の文章を書き直す、といった場面が当てはまる。これまでは、ブラウザのウィンドウを画面の半分に寄せるか、タブを頻繁に切り替えるかしかなかった。ウィンドウを半分に寄せる方法は、ページ全体の分だけ画面を占有してしまう。ミニウィンドウは、その中間として「必要な部分だけを常に見える位置に、小さく残す」という選択肢を増やす。

今すぐ試すには何が必要か

ミニウィンドウは、2026年11月6日時点でFirefoxの正式版(安定版)には入っていない。試すには、Firefoxのベータ版をダウンロードする必要がある。公式ページは、ベータを「事前リリース版の中で最も安定したビルド」と説明する。そのうえで「unstable testing and development platform(不安定なテスト・開発用のプラットフォーム)」とも書いている。既定でMozillaへ利用状況のデータが送信される点も、正式版との違いになる。Windows 8.1以前やmacOS 10.14以前は対象外で、古いOSではESR版(延長サポート版)が案内されている。

ミニウィンドウは、Firefox 160ベータの初期版として公開されたばかりの機能だ。公式リリースノートには「ここに記載された機能が正式版に含まれるかは未定」という注記がある。 Firefox 160の正式版は2026年11月10日に安定版チャンネルへ提供される予定だ。ミニウィンドウがそのまま含まれるかどうかは、piunikawebの記事でも明言されていない。今のところ、試せるのはベータ版に限られる。

今の時点で分かっている制限

ベータ版の初期段階の機能なので、知っておいたほうがいい制限もある。

  • メインウィンドウを閉じると、ミニウィンドウも閉じる: piunikawebが紹介した初期テスターの指摘で、ミニウィンドウだけを残して元のブラウザウィンドウを閉じることはまだできない
  • Linux版は、ウィンドウの角からしかサイズを広げられない: Mozilla公式のバグ管理システム(Bugzilla)に、Ubuntu環境でミニウィンドウの辺をドラッグしても縮小しかできず、拡大には角のドラッグが必要というバグが報告されている。WindowsとmacOSでは再現しない、Linux固有の不具合だ。報告は約1か月前で、ステータスは未割り当てのまま残っている
  • リンクを直接ミニウィンドウで開く機能はまだない: 右クリックでタブやページの範囲を選ぶ操作が必要

このバグ報告は「Firefox Mini Window experience」という親課題のもとに登録されている。Mozilla社内で、複数の細かい課題を抱えながら継続的に手を入れているプロジェクトであることがうかがえる。

まとめ

Firefoxのミニウィンドウは、動画専用だったピクチャーインピクチャーの発想を、任意のWebページやページの一部にも広げた機能だ。タブ全体だけでなく、ページの中の必要な範囲だけを切り出して常に最前面に置いておける。試すにはFirefoxをベータ版に切り替える必要があり、正式版への搭載時期は公式リリースノートでも未定とされている。Linux版のリサイズや、メインウィンドウを閉じると一緒に閉じてしまう点など、初期版らしい制限も残っている。レシピや資料を見ながら作業する場面で使えそうな機能だけに、11月10日の正式版リリースでどこまで含まれるかが次の確認点になる。

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