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横浜・福岡の混雑エリア、パケ止まりが10月から3割減った

KDDIが2026年11月6日の決算説明会で公表。横浜市・福岡市の一部混雑エリアで、スマホの「パケ止まり」が10月以降約3割減った。主因は楽天ローミングの縮小で、AI基地局最適化も11月から全国展開が始まる。

夜の屋外で大勢の人がスマートフォンの画面を掲げて見ている群衆

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Baran Robin on Pexels

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横浜や福岡の繁華街で、スマートフォンのアンテナ表示は満タンなのに、ページがいつまでも読み込まれない。そんな経験はないだろうか。KDDIは2026年11月6日の決算説明会で、この「パケ止まり」が10月以降、横浜市と福岡市の一部の混雑エリアで約3割減ったと公表した。

決算資料を読むと、改善の理由は自社の基地局を増やしたことではなく、別のキャリアの利用者が使っていた分が減ったことにあった。どんな仕組みでそうなったのか、そして自分の住む場所にも当てはまるのかを順に確かめる。

混雑エリアのパケ止まりが3割減った

「約3割減った」というこの数字は、何を測ったものなのか。KDDIが決算資料で示したのは「パケ止まり率」という指標だ。混雑時に十分なデータ通信品質を確保できなかった利用者の割合を指す。具体的には「Web接続時間2.5秒を安定的に満たすための、レスポンスタイム500ミリ秒以内の通信」を確保できたかどうかで判定する。ニュースサイトを開いたとき、電波表示は満タンなのに本文がなかなか出てこない、あの待たされ方を数値化したものだと考えればよい。

KDDI決算資料によれば、横浜市と福岡市の一部混雑エリアで、10月以降このパケ止まり率が約3割減った。対象期間は2026年9月24日から10月15日までの実績で、全国一律の数字ではない。ここで言う「混雑エリア」は、駅前や繁華街など、短い時間に多くの人が同じ基地局へ一斉に接続する場所を指す。通勤・通学の時間帯や、人出の多いイベントの前後に集中して起きやすい。

020406080100指数(10月以前=100)10月以前(基準): 10010月以降: 約70100約7010月以前(基準)10月以降

KDDIの決算資料には、パケ止まり率の実数ではなく「約3割減」という相対値だけが示されている。図は、10月以前を基準100とした指数に換算し直したものだ。棒の長さの差が、そのまま改善の大きさになる。では、この3割はどこから生まれたのか。

なぜ3割も減ったのか

自分が決算資料を読んで引っかかったのは、改善の主な理由が「auの契約者が増えたから」ではなかったことだ。KDDIの松田浩路社長は決算説明会で、楽天モバイルへのauネットワークのローミング提供を縮小したことが、この品質改善につながったと説明している。

基地局が一度に処理できる通信量には上限がある。同じ基地局を使う人が多いほど、1人あたりに回ってくる分は小さくなり、混雑する時間帯にレスポンスが遅れやすくなる。ここで言う「ローミング」とは、楽天モバイルの利用者が、自社の基地局が届かない場所で、提携先であるKDDIの基地局を間借りして通信する仕組みを指す。つまり横浜や福岡の混雑したエリアでは、au・povoの契約者だけでなく、楽天モバイルの利用者の一部も、同じKDDIの基地局の枠を分け合っていた。

楽天モバイルへのauネットワークのローミング提供は2026年9月末で従来の契約が終了した。10月以降は、楽天モバイル側の基地局整備が追いついていない郊外エリアなどに限って続く形になっている。松田氏は、想定外のトラフィックがKDDI側のネットワークに来ていたとして、契約終了によってこれが解消したと述べている。同じ説明会で、新しい枠組みによるローミング収入が2026年度下期に約100億円増える見通しも示した。この金額の大きさからも、楽天モバイルがそれだけの規模のトラフィックをKDDIのネットワークに流していたことがうかがえる。

自分はこれまで、混雑の原因は単純に自分と同じキャリアの利用者が増えることだと思っていた。実際には、契約していない他社の利用者が、裏側で同じ基地局の枠を使っていた分も効いていた。横浜や福岡の、こうした混雑エリアで間借り分が大きく減ったことが、au・povo利用者から見た混雑の緩和につながった形だ。では、この改善は自分が住む地域にも当てはまるのだろうか。

自分の住む地域にも当てはまるか

ここまでの数字には、範囲の限定が3つある。

  • 対象は横浜市・福岡市の「一部」混雑エリアに限られ、全国一律の改善を示す発表ではない
  • 評価期間は2026年9月24日〜10月15日の3週間ほどで、それ以降の推移は今回の決算資料に含まれていない
  • パケ止まり率はKDDI独自の評価指標で、総務省などが定める共通基準ではない

この記事の数字が当てはまるのは、横浜市・福岡市の一部混雑エリアを使っている人に限られる。ほかの地域でも同じ理屈(ローミング縮小による混雑緩和)が働いている可能性はあるが、KDDIはエリアごとの数値を公表していない。自分がよく使う駅前や繁華街が、通勤時間やイベント前後に混み合う場所かどうかは、思い当たる人も多いはずだ。そうした場所であるほど、同じ理屈が当てはまりやすい。ただし、自分のスマホでこの改善を数値として確かめる方法は無く、体感に頼るしかない点も留保として残しておきたい。横浜・福岡以外の人にとっては、これから何が起きるのかのほうが気になるところだろう。

11月からはAIが全国で混雑を調整する

横浜・福岡の数字は、すでに起きた変化の実績だった。これとは別に、KDDIは決算資料の同じページで、もう一つの取り組みを示している。全国を対象にした、AIによる基地局の自律制御だ。

KDDIとKDDI総合研究所は2026年10月14日、複数のAIが連携して基地局の設定を自動調整する実証の結果を発表した。2026年6月から8月にかけて、全国から選んだ100の混雑エリアの商用ネットワークで試した。その結果、混雑時間帯の上り通信速度が平均で約60%向上し、上り速度が1.5Mbps以下にとどまる低速エリアは約30%減ったという。上りとは、スマホから基地局へデータを送る向きの通信を指す。動画を見る「下り」より目立たないが、写真や動画の投稿、オンライン会議での発言の送信などで使う。

仕組みは、各基地局の設定値を計算する「推論器」と、複数の推論器の経験を学習して共有する「学習器」を組み合わせたものだ。信号機にたとえると分かりやすい。交通量の多い時間帯だけ青信号を長くして渋滞を減らすように、混雑する時間帯だけ各スマートフォンへの通信用の制御信号を手厚く割り当て、閑散時には抑える。時間帯ごとに配分を変えることで、同じ電波の範囲内でもやり取りできる量を増やす仕組みになる。

この仕組みは2026年11月から全国の商用ネットワークへ順次導入され、2026年度中の本格稼働を目指すとされている。横浜・福岡の改善が「他社利用者の間借り分が減った」ことによるものだったのに対し、こちらは全国どこでも、限られた電波の配り方を工夫して混雑を減らす取り組みになる。実際に自分のエリアで効果を感じられるようになるのは、導入が進む今後数か月になりそうだ。

まとめ

KDDIは2026年11月6日の決算説明会で、横浜市・福岡市の一部混雑エリアで、スマホの「パケ止まり」が10月以降約3割減ったことを公表した。主な理由は、楽天モバイルへのauネットワークのローミング提供が縮小し、他社利用者による基地局の間借り分が減ったことにある。

この改善は対象エリアと期間が限られているが、KDDIはこれとは別に、AIによる基地局の自律制御を2026年11月から全国へ展開する計画も示している。横浜・福岡で先に起きた変化の理由が分かれば、これから全国に広がる取り組みの効果も、同じものさしで眺められるはずだ。

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