microSDの商品ページを開くと、1枚のカードに「V30」「U3」「A1」といった記号が並んでいる。さらに「最大読出速度100MB/s」とも書いてある。どれを見て選べばいいのか、決め手が分からない。
カードの記号は、使う機器側の記号と同じ系統でそろえると、期待した書き込み速度を引き出せる。系統ごとに数字の付け方が違うので、機器の記号から選ぶと迷わない。SD Associationの解説を読みながら、何をどの順で確認すればよいのかを整理する。
記号は書き込み速度の下限を示す
記号が重なって見えるのは、速度の表示が1種類ではないからだ。SD Associationは、速度の表示には4種類あると書いている。Speed Class、UHS Speed Class、Video Speed Class、SD Express Speed Classの4つで、数字が付いた記号は最低書き込み速度を示すとしている。SD Associationのスピードクラス解説
最低書き込み速度とは、その速さ以上で書き込み続けられることを示す値だ。動画の録画では、途中で速度が落ちるとコマ落ちが起きる。だから最大値ではなく、下限を保証する表示になっている。
実際の製品を見てみる。キオクシアのEXCERIA PLUS microSDXC UHS-Iメモリカード(KLMPAE*シリーズ)は、最大読出速度/最大書込速度を100/85 MB/s(256GB・512GB)、100/60 MB/s(64GB・128GB)と書いたうえで、ビデオスピードクラス30(V30)に準拠、UHSスピードクラス3(U3)に加えてアプリケーションパフォーマンスクラス1(A1)に準拠と説明している。キオクシアの製品ページ
ここで「最大85MB/s」と「V30」が同じカードに並ぶのは、両者が反対側の端を指しているからだ。書き込み速度の軸に、この2つを置いてみる。
帯は0から85まで伸びている。これが条件がそろったときに出る上限だ。縦線は30の位置に立っていて、V30が下回らないことを目指す下限にあたる。線から右が保証される範囲で、85はそのずっと先にある。どちらも同じカードの書き込み速度の話で、矛盾しているわけではない。キオクシアの製品ページ
A1だけは種類が違う。これはアプリケーションパフォーマンスクラスといい、アプリを動かすときの性能を示す。数値は後で見る。
カードは機器と同じ系統でそろえる
選び方の起点は、機器側の記号になる。
SD Associationは、機器(ホスト)側にもクラス記号が示されるとしている。製品本体、パッケージ、説明書のいずれかに書かれ、利用者は機器の記号と同じか、それより上のクラスのカードを選べばよい、という考え方だ。機器がSpeed Class 4を要求するなら、Class 4、6、10のカードが使える。「Best Combination between Speed Class Host and Card」
そのうえで、同じ節に次の注意が書かれている。ホストとカードで違う系統の記号を組み合わせた場合、期待した書き込み速度は得られない。例として挙がっているのは「ホストがClass 10でカードがU1」「ホストがU1でカードがV10」で、これらがいずれも10MB/秒の書き込み速度を示していても同じだとしている。
| 機器(ホスト)側 | カード側 | 書き込み速度 | 結果 |
|---|---|---|---|
| Class 10 | Class 10 以上 | 同じ系統 | 期待どおり |
| Class 10 | U1 | どちらも10MB/秒 | 期待どおりにならない |
| U1 | V10 | どちらも10MB/秒 | 期待どおりにならない |
1行目が規格側の示す使い方、2行目と3行目が注意されている組み合わせにあたる。3行とも書き込み速度は10MB/秒を指しているのに、系統がそろっているかどうかで結果が変わる。表はSD Associationのスピードクラス解説の記述をもとにした整理で、実測した結果ではない。
数字の付け方も系統ごとに違う。Class 10とV10は数字がそのまま10MB/秒を指し、U1は数字が1で同じ10MB/秒を指す。
もう一つ、系統ごとに使えるバスモードが決まっている。バスモードは、カードと機器がデータをやり取りする通信方式のことだ。C10はHigh Speed以降、U1とU3はUHS-I・UHS-II・UHS-III、V6とV10はHigh SpeedとUHS、V30はUHS、V60とV90はUHS-II・UHS-IIIで使うとされている。機器が古いバスモードしか持たない場合、上位クラスのカードを入れても表記どおりにはならない。
A2の性能はA2対応機器で出る
アプリケーションパフォーマンスクラスが測るのは、細かい読み書きを1秒に何回こなせるかだ。SD Associationは、A1とA2の要件を次のように示している。アプリケーションパフォーマンスクラスの説明
| クラス | ランダム読み出し | ランダム書き込み | 連続書き込み |
|---|---|---|---|
| A1 | 1,500 IOPS 以上 | 500 IOPS 以上 | 10 MB/s 以上 |
| A2 | 4,000 IOPS 以上 | 2,000 IOPS 以上 | 10 MB/s 以上 |
IOPSは1秒あたりに実行できる読み書き命令の数で、ここでは4KBの命令を数えている。連続書き込みの値はA1とA2で同じなので、2つの差は、大きなファイルを一気に書く速さには出ない。差が出るのは、小さな読み書きを何回さばけるかだ。そのため、2つの差が表れるのは、アプリをカードへ入れて動かす用途になる。
そのA2について、SD Associationは条件を付けている。A2の性能はA2対応のホストとA2対応のカードを組み合わせたときにだけ得られ、A1とA2の記号の組み合わせでは、少なくともA1の性能が得られる、という書き方だ。アプリケーションパフォーマンスクラスの定義
A2対応の機器と組み合わせれば、ランダム読み出し4,000 IOPS以上を要件にしたA2の性能を使える。自分ならA2のカードを選ぶ前に、使う機器がA2に対応しているかを調べる。
機器側の記号から確認する
ここまでを踏まえると、確認は機器側から始めることになる。
- 使う機器の取扱説明書、本体、パッケージで、クラス記号を探す。「C」「U」「V」「A」で始まる記号と数字を見る。
- 見つかった記号と同じ系統で、同じか上のクラスのカードを選ぶ。機器がV30を求めているならV30以上、U1を求めているならU1以上を見る。
- アプリを入れて動かす用途なら、機器がA2に対応しているかを確認する。対応が確認できなければ、A1相当で足りるかを考える。
- カードの商品ページでは、「最大読出速度」と、クラス記号の数字を分けて読む。前者は上限、後者は下限を指す。
数値の前提として、クラスの書き込み速度は測定条件が決まっている。SD Associationは、スピードクラスの書き込みを、断片化していない領域(Free AU)への連続書き込みとして定義している。ファイルの削除と書き込みを繰り返すと領域は少しずつ断片化し、書き込み速度に影響する、とも書かれている。「Fragmentation and Speed」
まとめ
- 速度の表示はSpeed Class、UHS Speed Class、Video Speed Class、SD Express Speed Classの4系統ある。数字が付いた記号は最低書き込み速度を示し、録画中に下回らない速さの目安になる。
- 機器の記号と同じ系統で、同じか上のクラスのカードを選べば、期待した書き込み速度が得られる。U1とClass 10はどちらも10MB/秒を指すように、数字の付け方は系統ごとに違う。
- A2のカードはA2対応の機器と組み合わせると、アプリを入れて動かす用途向けの性能を発揮する。A1とA2の組み合わせでも、少なくともA1の性能は得られる。
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