Litmus — 話題のニュースを、深く読み解く。 RSS
ガジェット

「USB4」ポートの40GbpsとPCIe接続は、規格上どちらもオプションだった

USB4は20GbpsとDisplayPort Alt Modeだけが必須で、40GbpsとPCIeトンネリングはオプション。USB-IFの公式資料と製品表記から、商品ページで確認すべき文字列を整理する

ノートパソコンの側面に並ぶUSB-C端子とHDMI端子の接写

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Eric Feng on Pexels

この記事には Amazon アソシエイトのリンクを含みます。

ノートPCの買い替えを検討していて、仕様表の「USB4 (Type-C) ×1」という一行で手が止まったことはないだろうか。外付けSSDをつなぐつもりなのに、40Gbpsで動くのか、20Gbpsしか出ないのかがどこにも書いていない。

結論から言うと、USB4という規格が保証しているのは2つだけだ。20Gbpsのデータ転送と、外部モニターへの映像出力(DisplayPort Alt Mode)。40Gbpsも、外付けGPUやドックで使うPCIe接続も、規格上はどちらも任意の機能になる。「USB4」という一言だけでは、そのポートが40Gbpsで動くかどうかは決まらない。

仕様表の「USB4」には何が書かれていないのか

ASUSが直販サイトで公開している「Zenbook 14 UM3406KA」の仕様表を見てみる。USB Type-Cポートの説明は次のとおりだ。

USB4 (Type-C) ×1 ※ データ転送と映像出力、本機への給電をサポート

Gbpsの数字がどこにもない。気になるのは、すぐ下に並ぶもう1つのUSB-Cポートの表記だ。

USB3.2 (Type-C/Gen2) ×1 ※ データ転送と映像出力、本機への給電をサポート

こちらは「Gen2」まで書かれている。USB 3.2にはGen1(5Gbps)とGen2(10Gbps)がある。この製品ページはUSB3.2側の版はきちんと書き分けているのに、より新しいはずのUSB4側だけ版を書いていない。古い規格の方が表記が細かく、新しい規格の方が粗いという逆転に、調べていて二度見した。

このポートが実際に20Gbpsで動くのか40Gbpsで動くのかは、この記載だけからは読者にも自分にも判断できない。出典を何度読み返しても、そこに書いていない情報は出てこない。ではこの「USB4」という言葉自体は、何を保証していて何を保証していないのか。規格の側から確認する。

USB4が保証しているのは20GbpsとDisplayPort Alt Modeだけ

USB4という規格自体は、パソコン側のポート(USB4ホスト)に何を義務づけているのか。USB4の仕様を策定したUSB-IF(USB Implementers Forum)は、2019年のUSB Developer Days Taipeiで「USB4 System Overview」という資料を公開している。そこにはこう書かれている。

A USB4 host supports 20 Gbps operation and optionally 40 Gbps operation

20Gbpsでの動作をサポートし、40Gbpsでの動作は「オプションで」サポートする、という書き方だ。出典(9ページ目)。外付けGPUや高速ドックで使うPCIe接続についても同じ記述がある。「Optionally support PCIe Tunneling」。こちらもオプション扱いだ。

必須と書かれているのは1つだけだ。「A USB4 host is required to support DisplayPort™ Alt Mode on all of its DFP」。すべての下流ポートでDisplayPort Alt Mode、つまり外部モニターへの映像出力だけは必須とされている。

外付けSSDなど、パソコンにつなぐ側の機器(USB4デバイス)についても同じ資料の11ページ目に説明がある。

Supports 20 Gbps and optionally 40 Gbps operation

こちらも20Gbpsが基本で、40Gbpsは任意だ。パソコン側だけでなく、つなぐ機器の側の「USB4」表記も、そのままでは40Gbpsを意味しない。

**USB4という名前の中身を追っていくと、確実に保証されているのは20GbpsとDisplayPort Alt Modeの2つだけだった。**USB4の代名詞のように語られる「40Gbps」も、eGPUやThunderboltドックの評判の元になっているPCIe接続も、規格上はどちらも製品次第の任意機能でしかない。

USB4は20Gbpsを最低ラインに、40Gbps・80Gbpsという上位の階層を積み重ねる構造になっている。

必須 20Gbps

オプション 40Gbps

オプション 80Gbps

0 20 40 60 80

3本の棒の長さは20・40・80Gbpsに比例している。濃い色の20Gbpsだけが全USB4ホスト・デバイス共通の最低ラインで、40Gbpsと80Gbpsはどちらも「あれば嬉しいオプション」の側にある。出典

商品ページで「USB4」という言葉だけを見て40Gbpsだと決めつけると、実際には最低ラインの20Gbpsしかない製品もあるし、その逆に40Gbpsや80Gbpsまで対応していても名前だけでは伝わらない製品もある、ということになる。

なぜ多くの製品は数字を書かずに売っているのか

USB-IFは数字を明示するよう求めているのに、なぜASUSのようなメーカーは「USB4」とだけ書いて売っているのか。

1つの規格名の中に、速度の違う製品を共存させている

理由の一端は、USB4がここまで速度に幅を持たせている構造そのものにある。20Gbps止まりの安価なUSB4コントローラーから、40Gbps・80Gbps対応の高性能なものまで、1つの「USB4」という規格名の中に共存させることで、対応機器の裾野を広げているためだ。

USB Promoter Groupは2022年9月、USB4 Version 2.0で80Gbpsへの対応を追加した。このときも発表文で「Backward compatibility with USB4 Version 1.0, USB 3.2, USB 2.0 and Thunderbolt™ 3」と述べ、旧バージョンとの互換を維持したまま上位の階層を積み増したと説明している。

USB-IFも同年10月の発表で「enabling manufacturers to develop products that can deliver USB 80Gbps in addition to existing USB 40Gbps and USB 20Gbps to end users」と述べている。20・40・80Gbpsの3階層は今も併存している。

USB-IF自身は、数字までの表記をすでに求めている

では、この階層を消費者に伝える言葉はどうなっているのか。USB-IF自身は、正しく伝えるための語彙をすでに用意している。「USB4® Specification Language Usage Guidelines」という文書で、USB4が識別する転送速度を次のように定義している。

USB4® identifies two transfer rates, USB4® 20Gbps at 20Gbps and USB4® 40Gbps at 40Gbps. Vendors must clearly communicate the performance signaling that a product delivers

「USB4」ではなく「USB4® 20Gbps」「USB4® 40Gbps」という、数字まで含めた名称で速度を明示するよう、ベンダーに求めている。出典。この文書には「USB4® is not USB Power Delivery or USB Battery Charging」ともあり、給電対応もまた別軸で確認が要ることが分かる。

この語彙が実際にどこまで使われているかは、製品の種類によって差がある。サンワサプライのUSB4ケーブルは、型番と商品名の両方にGbps数値を書き込んでいる。

型番商品名速度
KU-40GCCPE10USB40Gbps(USB4 Gen3)Type-C ケーブル40Gbps
KU-20GCCPE10USB4 ケーブル 240W対応 1m Type C 20Gbps20Gbps

同社の解説ページでも「USB4には最大転送速度20Gbpsと40Gbpsの2種類の動作仕様がある」「USB4の性能を最大限に活かしたい場合は40Gbpsに対応したケーブル・機器を選択しましょう」と、2つの速度が別物であることをはっきり説明している。出典。ケーブルという単機能の製品では、USB-IFの命名規則がそのまま商品名に反映されている。

ところが、さきほどのASUS Zenbook 14のようなノートPCの仕様表では、この数字が省略されることがある。ポートが1つの機能ではなく、データ転送・映像出力・給電をまとめて担う多機能な窓口になっているぶん、仕様表の1行に収めるときに速度の版まで書ききれていないのだろうと自分は見ている。理由がどうあれ、読者にとっては「USB4」という言葉だけを見て判断できない状況に変わりはない。

買う前に確認する3つのこと

ここまでの内容を、商品ページで確認する手順に落とし込む。

  1. Gbpsの数値を探す。「USB4® 40Gbps」「Gen 3x2」「40Gbps」のいずれかがあれば40Gbps対応と分かる。なければ20Gbps(Gen 2x2)止まりの可能性を前提に考える
  2. PCIe・Thunderbolt互換の記載を探す。外付けGPUや高速ドックを使う予定があるなら、この記載の有無を確認する。書かれていなければ、その用途への対応はメーカーに問い合わせるまで未確定として扱う
  3. 外部モニター出力は別扱いにする。DisplayPort Alt ModeはUSB4ホストに必須なので、「USB4」とだけ書かれたポートでも外部モニター1台への出力は期待してよい

この記事が当てはまるのは、USB4を名乗るホスト・デバイス間の接続についてで、USB4を経由しないUSB 3.2やThunderbolt単体の認証要件までは扱っていない。

まとめ

USB4という規格が保証しているのは、20Gbpsでのデータ転送とDisplayPort Alt Modeによる映像出力の2つだけだ。40Gbpsでの動作も、外付けGPUや高速ドックで使うPCIe接続も、USB-IFの公式資料ではどちらもオプション機能として説明されている。USB4 Version 2.0で80Gbpsが加わったあとも、この20Gbpsという最低ラインの構造は変わっていない。

USB-IFはこの違いを「USB4® 20Gbps」「USB4® 40Gbps」という数字付きの名称で書き分けるようメーカーに求めており、ケーブルのような単機能製品ではその通りに表記されている。一方でノートPCの仕様表では、ASUS Zenbook 14のように数字が省かれ、「USB4」とだけ書かれることがある。仕様表に「USB4」とだけ書かれたポートを見たら、40GbpsもPCIe対応も未確定として扱い、数字やPCIeへの言及がどこかにないか、商品ページやメーカーへの問い合わせで確かめるのがよい。

購入候補

Amazonで条件を確認

記事で触れた判断基準から、候補を絞った検索結果を開きます。

価格と在庫は変わります。購入前にリンク先で、価格・販売元・仕様表示を確認してください。

コメント

気づきや感想をどうぞ

記事への補足や、読んで考えたことをお寄せください。個人情報や、他の人を傷つける内容の投稿はお控えください。

コメントを読み込んでいます…

    ほかの記事

    最新の記事 →