ノートPCの買い替えを検討していて、仕様表の「USB4 (Type-C) ×1」という一行で手が止まったことはないだろうか。外付けSSDをつなぐつもりなのに、40Gbpsで動くのか、20Gbpsで動くのかがどこにも書いていない。
結論から言うと、USB4ポートならどの製品でも、20Gbpsのデータ転送と外部モニターへの映像出力(DisplayPort Alt Mode)が使える。規格がこの2つを必ず備えるよう定めているからだ。そのうえで、40Gbpsや、外付けGPU・ドックで使うPCIe接続に対応した製品もある。こちらは「USB4 40Gbps」のような数字付きの表記で見分けられる。
仕様表の「USB4」を読んでみる
ASUSが直販サイトで公開している「Zenbook 14 UM3406KA」の仕様表を見てみる。USB Type-Cポートの説明は次のとおりだ。
USB4 (Type-C) ×1 ※ データ転送と映像出力、本機への給電をサポート
USB4側は、Gbpsの数字の代わりに使える機能を並べている。すぐ下に並ぶもう1つのUSB-Cポートは次の表記だ。
USB3.2 (Type-C/Gen2) ×1 ※ データ転送と映像出力、本機への給電をサポート
こちらは「Gen2」まで書かれている。USB 3.2にはGen1(5Gbps)とGen2(10Gbps)がある。出典
では「USB4」とだけ書かれたポートで何が使えるのか。規格の側から確認する。
USB4が必ず備える20Gbpsと映像出力
USB4という規格自体は、パソコン側のポート(USB4ホスト)に何を義務づけているのか。USB4の仕様を策定したUSB-IF(USB Implementers Forum)は、2019年のUSB Developer Days Taipeiで「USB4 System Overview」という資料を公開している。そこにはこう書かれている。
A USB4 host supports 20 Gbps operation and optionally 40 Gbps operation
20Gbpsでの動作をサポートし、40Gbpsでの動作は「オプションで」サポートする、という書き方だ。出典(9ページ目)。外付けGPUや高速ドックで使うPCIe接続についても同じ記述がある。「Optionally support PCIe Tunneling」。こちらもオプション扱いだ。
映像出力は必須とされている。「A USB4 host is required to support DisplayPort™ Alt Mode on all of its DFP」。すべての下流ポートでDisplayPort Alt Mode、つまり外部モニターへの映像出力に対応する。
外付けSSDなど、パソコンにつなぐ側の機器(USB4デバイス)についても同じ資料の11ページ目に説明がある。
Supports 20 Gbps and optionally 40 Gbps operation
こちらも20Gbpsが基本で、40Gbpsは任意だ。USB4ホストとUSB4デバイスをつなげば、20Gbpsでの転送はどの組み合わせでも使える。
USB4という名前の中身を追っていくと、どのUSB4製品でも使えるのは20GbpsとDisplayPort Alt Modeの2つだと分かった。USB4の代名詞のように語られる「40Gbps」や、eGPUやThunderboltドックで使うPCIe接続は、対応した製品を選ぶと使える上位の機能になる。
USB4は20Gbpsを最低ラインに、40Gbps・80Gbpsという上位の階層を積み重ねる構造になっている。
3本の棒の長さは20・40・80Gbpsに比例している。濃い色の20Gbpsだけが全USB4ホスト・デバイス共通の最低ラインで、40Gbpsと80Gbpsはどちらも「あれば嬉しいオプション」の側にある。出典
40Gbpsや80Gbpsを使いたいときは、次の節で見る数字付きの名称で対応製品を選べる。
速度を名前で見分ける仕組み
USB4は1つの名前の中に複数の速度を持ち、それを数字付きの名称で見分けられるようにしている。
20・40・80Gbpsが1つの名前に共存する
USB4は、20Gbpsの製品から40Gbps・80Gbps対応の製品までを、1つの「USB4」という規格名の中に収めている。
USB Promoter Groupは2022年9月、USB4 Version 2.0で80Gbpsへの対応を追加した。このときも発表文で「Backward compatibility with USB4 Version 1.0, USB 3.2, USB 2.0 and Thunderbolt™ 3」と述べ、旧バージョンとの互換を維持したまま上位の階層を積み増したと説明している。
USB-IFも同年10月の発表で「enabling manufacturers to develop products that can deliver USB 80Gbps in addition to existing USB 40Gbps and USB 20Gbps to end users」と述べている。20・40・80Gbpsの3階層は今も併存している。
USB-IFは数字付きの名称を定めている
この階層を買う人に伝える名称も、USB-IFが定めている。「USB4® Specification Language Usage Guidelines」という文書で、USB4が識別する転送速度を次のように定義している。
USB4® identifies two transfer rates, USB4® 20Gbps at 20Gbps and USB4® 40Gbps at 40Gbps. Vendors must clearly communicate the performance signaling that a product delivers
「USB4® 20Gbps」「USB4® 40Gbps」という、数字まで含めた名称で速度を明示するよう、ベンダーに求めている。出典。この文書には「USB4® is not USB Power Delivery or USB Battery Charging」ともあり、給電対応は速度とは別に確かめる。
ケーブルでは、この名称が商品名に入っている。サンワサプライのUSB4ケーブルは、型番と商品名の両方にGbps数値を書き込んでいる。
| 型番 | 商品名 | 速度 |
|---|---|---|
| KU-40GCCPE10 | USB40Gbps(USB4 Gen3)Type-C ケーブル | 40Gbps |
| KU-20GCCPE10 | USB4 ケーブル 240W対応 1m Type C 20Gbps | 20Gbps |
同社の解説ページでも「USB4には最大転送速度20Gbpsと40Gbpsの2種類の動作仕様がある」「USB4の性能を最大限に活かしたい場合は40Gbpsに対応したケーブル・機器を選択しましょう」と、2つの速度が別物であることをはっきり説明している。出典。ケーブルという単機能の製品では、USB-IFの命名規則がそのまま商品名に反映されている。
ノートPCの仕様表では、さきほどのASUS Zenbook 14のように、ポートが担うデータ転送・映像出力・給電をまとめて書く例もある。そうした製品でも、次の手順で対応する速度と機能を確かめられる。
買う前に確認する3つのこと
ここまでの内容を、商品ページで確認する手順に落とし込む。
- Gbpsの数値を探す。「USB4® 40Gbps」「Gen 3x2」「40Gbps」のいずれかがあれば40Gbps対応と分かる。数値がなければ、必ず使える20Gbps(Gen 2x2)を前提に考える
- PCIe・Thunderbolt互換の記載を探す。外付けGPUや高速ドックを使う予定があるなら、この記載で対応を確かめる。記載がなければメーカーに問い合わせる
- 外部モニター出力は、どのUSB4ポートでも使える。DisplayPort Alt ModeはUSB4ホストに必須なので、「USB4」とだけ書かれたポートでも外部モニター1台への出力を見込める
まとめ
USB4ポートなら、20Gbpsでのデータ転送とDisplayPort Alt Modeによる映像出力はどの製品でも使える。USB-IFの公式資料が、この2つをUSB4ホストに求めているためだ。40Gbps、USB4 Version 2.0で加わった80Gbps、外付けGPUや高速ドックで使うPCIe接続は、対応した製品を選ぶと使える上位の機能になる。
対応製品は、USB-IFが定めた「USB4® 20Gbps」「USB4® 40Gbps」という数字付きの名称で見分けられる。ケーブルのような単機能製品では、この名称が商品名にそのまま入っている。ノートPCの仕様表に「USB4」とだけ書かれている場合は、商品ページでGbpsの数値やPCIe・Thunderbolt互換の記載を探すか、メーカーに問い合わせると確かめられる。
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