洗濯物をガスの熱でふっくら速く乾かす「乾太くん」。気になって調べたら、賃貸でも分譲でも「マンションでは設置が難しい」という話に行き当たって諦めた人は多いはずだ。リンナイは2026年9月14日、その「無理」を変えると謳う新モデル「温水式乾太くん」を発表した。9月28日発売のこのモデル、見出しは「既築マンションにも設置しやすい」。何が変わって設置しやすくなったのか、そして「しやすい」の中身はどこまでの話なのかを確かめる。
乾太くんが「マンション向きではない」と言われてきた理由
乾太くんは洗濯物の湿気を必ず屋外に排出する仕組みで、電気式のように室内へ温風を逃がすことはできない。東京ガスの公式ページによると、室内に設置する場合は「屋外に面した壁に排湿筒を通し、湿気を屋外に排出する方式」(壁貫通方式)を取る。同じページは設置に適さない場所として「屋内で排湿筒が設置出来ない場所」を挙げている。つまり設置には、新しく屋外への開口部を作れることが前提になる。
分譲マンションでは、この「新しい穴」が壁になる。Daigasコラムは、外壁が共用部にあたるため「管理規約で外壁への穴あけ工事やベランダへの機器設置が禁止されていないかを確認することが重要」と説明する。配管を通すスペースやルートが確保できない物件、給湯器がベランダになく配管を延長できない物件があることも挙げている。個人の判断で外壁に穴を開けられない以上、乾太くんが欲しくても入口で止まる家庭があったわけだ。この前提を踏まえて、新モデルが何を変えたのかを見る。
「温水式」が変えたのは、熱源より先に排気ルートだった
自分は「温水式」という名前から、熱源がガスの直接燃焼から温水に変わる話が主眼だと予想していた。ところがリンナイのリリースが「新商品の特長」として最初に挙げているのは、熱の話ではなく「排湿管の合流に対応 設置環境の選択肢を拡大」という排気の話だ。会社側が一番のセールスポイントに置いているのは、まさに前段で見た「新しい穴」の問題への対処だった。
温水式乾太くんの排湿管には、「亜鉛めっき鋼板製のスパイラル管など、空調設備で一般的な部材」が使える。これによって「当社製ガス温水式浴室暖房乾燥機の排湿管との合流にも対応する」という。洗面室に置く乾太くんの排気を、浴室にすでにある浴室暖房乾燥機(浴室乾燥機)の排気ダクトに接続し、1本にまとめて屋外に出す方式だ。次の図は、従来型と温水式で屋外の開口部がどう変わるかを表している。
図が示すのは、新しく増やす穴の数の違いだ。従来型は、浴室にもとからある開口部とは別に、洗面室専用の開口部を新しく1つ増設する必要があり、屋外の開口部は計2つになる。温水式は洗面室の配管を浴室の配管に合流させ、浴室にもとからある開口部1つだけを共有する。既築マンションの場合、この合流後の排湿管径は100mmでも設置可能とリリースの注釈にある。新しい排気口を増やすのではなく、すでにある排気口を共有する発想に切り替えたことで、外壁を新しく傷つけずに済む可能性が生まれた。では、この方式は誰の家でも使えるのだろうか。
「可能性がある」は、誰の家にも当てはまるわけではない
リリースの見出しだけを読むと「うちも置けるはず」と思いたくなるが、注釈まで読むと対象はかなり絞られる。自分もここで一度立ち止まった。「設置できる可能性がある」という慎重な言い回しの理由は、次の2点に表れている。
- 合流できる相手は「当社製ガス温水式浴室暖房乾燥機」に限られ、電気式・中間ダクト式・脱衣室暖房タイプの浴室暖房乾燥機や、換気単能機、熱交換型換気システムとは接続できない
- 衣類乾燥機と浴室暖房乾燥機を同時に運転すると、性能等に影響する
つまり、まず自宅の浴室暖房乾燥機がリンナイ製のガス温水式かどうかで対象かどうかが決まる。対象であっても、洗濯と入浴後の暖房を同時に使うと本来の性能が出ない場面が出てくる。「既築マンションにも設置しやすい」は、専用の穴を新設しなくて済む可能性が生まれたという意味であって、無条件に誰でも置けるという意味ではない。
乾燥時間と価格
条件を確認したところで、本体の中身も見ておく。
| 型式 | 乾燥容量 | 希望小売価格(税込) | 外形寸法(高さ×幅×奥行) |
|---|---|---|---|
| RDO-60 | 6kg | 184,800円 | 710×650×567mm |
| RDO-90 | 9kg | 222,200円 | 710×650×647mm |
乾燥時間は衣類6kgで約84分、電気ヒートポンプ式の半分以下とリンナイは説明する(実用衣類6kg・綿50%化繊50%・脱水度70%で比較した同社調べの数値)。価格は本体のみで、排湿管の合流工事を含む施工費は別途かかる。具体的な施工費の金額はリリースに記載がなく確認できていない。発売前のモデルのため、実際の乾燥性能や施工事例はまだ検証されていない。
まとめ
「温水式乾太くん」が変えたのは、排気口を新しく増やすことではなく、すでにある浴室暖房乾燥機の排気口を共有することだった。管理規約が外壁への新規工事を止めやすい既築マンションにとって、この発想の転換は設置の土俵に乗る余地を作る。**ただし合流できるのはリンナイ製のガス温水式浴室暖房乾燥機に限られ、洗濯と入浴後の暖房を同時に使うと性能に影響する条件も付く。**検討する場合は、まず自宅の浴室暖房乾燥機の種類を確認し、そのうえで排湿管を合流できるかどうかを施工店に相談するところから始めることになる。
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