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京セラTORQUE G07の「耐海水」は、IPX8の等級とは別枠の独自試験だ

防水スマホが海で壊れたという投稿が拡散した。IPX8等の防水等級は真水前提で海水は別枠。京セラTORQUE G07は水深5m・60分の独自海水試験を前モデルの2.5倍に強化していた。

海辺で持ち上げたスマートフォンの画面に、目の前の海と砂浜の景色が映り込んでいる写真

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by Nathan J Hilton on Pexels

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「防水だから」と思ってスマホを海に持ち込んだら壊れた、という投稿が2026年9月にTogetterで話題になった。投稿によると、素潜り中に浸水が起き、5,700件以上の「いいね」がついた。防水とうたうスマホが、なぜ海で壊れることがあるのか。答えを先に言うと、一般的な防水試験が想定しているのは真水で、海水は想定に入っていないことが多い。京セラのタフネススマホ「TORQUE G07」(型番KYG06、au専売)は、その差を埋めるために、通常の防水性能とは別枠で「耐海水」という独自の試験を公表している機種だ。

「防水」の等級が保証しているのは、真水での話

多くのスマートフォンが載せている防水性能は、IPX5やIPX8のような等級で表記される。たとえば近年のiPhoneが満たすIP68は、Apple公式サポートによれば「最大水深6mで最長30分」の水没に耐える基準だ。

ただしApple自身、この試験に使う水の種類は明記していない。スマホの防水を解説する「暮らしのヒント」は「テストに使われるのは基本的に真水です」と説明する。海水は塩分による金属部分のサビ・腐食を招くため「基本的に避けたほうがよい」ともまとめている。暮らしのヒント ITmediaも、防水性能を持つスマートフォン全般について「濃い塩分や汗、アルコール、コーヒー飲料など特定の液体での損傷は保証対象外」になりうると指摘している。ITmedia つまり等級が示す深さや時間の数字は真水での試験が前提で、海水にどこまで耐えるかは等級だけでは分からない。

自分はここで一度止まった。IPX8の数字さえ見ておけば防水性能の全体が分かると思い込んでいたが、実際には「どんな水を使った試験か」という条件が等級の外側に隠れている。

京セラは海水を、別枠の独自試験にしている

では、海水を想定したスマホは存在するのか。京セラの「TORQUE G07」の製品ページには、IPX5/IPX8/IPX9という防水等級とは別に、「耐海水」という項目が独立して並んでいる。記載によれば「日本沿岸部を想定した海水で、水深約5.0mに約60分間沈める試験」をクリアしたという。真水ではなく海水そのものを使い、深さと時間を具体的な数字で示している点が、一般的な等級表記と違う。

驚いたのは、この基準が同じシリーズの前モデルより大きく引き上げられていたことだ。前モデル「TORQUE G06」の耐海水試験は水深約2.0mだったが、G07では「水深約5.0mの水圧に耐える新たな防水部品を採用」し、深さの基準を2.5倍に伸ばしている。防水性能は同じメーカーの後継機だからといって同じ基準とは限らない。

真水と海水、深さと時間がどう違うかを並べると、京セラがなぜ独自試験を別項目として置いているかが見えてくる。

対象想定する水深さ時間
一般的なIP68表記(iPhone等)真水(メーカーは水の種類を明記せず)最大6.0m最長30分
TORQUE G06(前モデル)海水(日本沿岸部を想定)約2.0m約60分
TORQUE G07(現行)海水(日本沿岸部を想定)約5.0m約60分

表から分かるのは、深さの数字だけを比べても意味がないということだ。真水と海水は前提そのものが違うため、「6m」と「5m」を単純に並べて優劣を比べられる数字ではない。TORQUE G07が示しているのは、深さの大小ではなく、海水という条件そのものを試験に持ち込んだという点になる。

誰に向いていて、誰には向かないか

京セラの導入事例では、北海道・留萌市で海上監視業務にあたる「ヤットマリンスクール」がTORQUE系列の端末を使っている。代表の米安哲士氏は「海上監視ではボートに乗りながら活動するため、波をかぶるのは当たり前という状況です」と話す。そのうえで「TORQUE®は耐海水仕様のため、海水を全く気にせず、劣化や故障のストレスもなく使用できます」と評価している。海や水辺で日常的に働く人、ダイビングやサーフィンで海にスマホを持ち込みたい人には、この独自試験が刺さる。

一方で、日常使いのメイン機として選ぶには重さ約243g・厚さ約14.6mmとかさばる。auが2026年2月の発表時に案内した価格は13万1,800円(税込、au専売、2026-09-14確認)。ケータイ WatchによるとMNP時の実質負担額は4万1,800円からになる。Snapdragon 7 Gen 4というミドルスペックの中身にしては安くなく、海に触れる機会が少ない人には過剰な装備になる。

買う前に確認したい点

ここで一つ留保がいる。TORQUE G07のauオンラインマニュアルは、防水性能を発揮するための取り扱いを求めている。そのうえで「すべてのご使用状況について保証するものではありません」「水濡れによる故障と判明した場合、保証対象外となります」とも明記している。海水試験をクリアした機種でも、無条件に壊れないと保証されているわけではない。

同じマニュアルは「雨の中や水滴がついたままで背面カバーの取り付け/取り外し、USBカバーの開閉は行わないでください」とも注意している。「耐海水」は、何もせず海に浸けっぱなしにしてよいという意味ではなく、決められた手入れと取り扱いを守る前提で成立している性能だ。

まとめ

「防水」と一括りに書かれた表記だけでは、海水にどこまで耐えるかは判断できない。IPX8のような等級表記は主に真水を前提にした目安で、海水への耐性は別枠で確認する必要がある。京セラのTORQUE G07はその差を埋めるために、水深5.0m・60分の独自の海水試験を公表し、前モデルより基準を引き上げた機種だ。ただしそれも「すべての状況を保証するものではない」と明記された性能で、濡れたままカバーを開閉しないといった手入れとセットになっている。海やプールに「防水だから」とスマホを持ち込む前には、その表記が真水と海水のどちらを想定したものかを確かめたほうがいい。

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