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NEOGEO AES+は当時のカートリッジをHDMIで遅延なく動かす

SNKとPLAION REPLAIの新型NEOGEO機は、当時の回路を再現した内製ASICチップにより、HDMI出力でも遅延なく当時のカートリッジを動かす。発売は2027年9月16日、価格は32,800円から。

紫の照明の中、アーケードスティックのボールトップと6つの白いボタンをクローズアップした写真

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by George Becker on Pexels

この記事には Amazon アソシエイトのリンクを含みます。

押し入れに当時のNEOGEOカートリッジがあっても、今のテレビにはHDMI端子しかない。レトロゲーム機をHDMIに繋ぐと、ボタンを押してから画面が反応するまでわずかに遅れる。この経験がある人は多いはずだ。SNKとPLAION REPLAIが開発中の新型ハード「NEOGEO AES+」は、この遅れが起きない設計だと説明している。東京ゲームショウ2026(TGS2026)の開発者インタビューで、その仕組みの中身が具体的に語られた。

なぜ復刻ハードは遅延が起きるのか

NEOGEO AES+は、当時のNEOGEO AES用ROMカートリッジをそのまま挿して動かせる家庭用ゲーム機だ。PLAION REPLAI公式サイトはこの製品をそう案内している。ここで気になるのが「エミュレーションではない」という一文だ。

多くの復刻ゲーム機は、当時の回路の動きをソフトウェアで模倣する「エミュレーション」という方式を使う。エミュレーションでは、計算した映像を一度メモリにためてから画面へ送る「フレームバッファ」という仕組みを経由することが多い。ためて送るぶん、わずかな遅れが生まれる。

NEOGEO AES+の開発は、ハードウェア/ソフトウェアディレクターのベン・ジョーンズ氏が統括している。ジョーンズ氏はTGS2026の取材で「当時のものを100%再現したいという想いがありました」と、開発の狙いを説明している。そのために選んだのが、エミュレーションではなく、当時の回路そのものを再現する専用の半導体「ASIC」を新規に作ることだった。SNKとの協議開始から2年半〜3年、実際の開発開始から約2年、4種類の内製ASICチップの開発だけで約18カ月かかったという。

HDMIでも遅延がない理由

ASICは、特定の回路の動きだけをするように作られた専用の半導体だ。汎用のCPUで計算して結果を再現するのではなく、当時のNEOGEOが持っていたCPUやビデオ機能そのものを、回路のレベルで作り直している。

ジョーンズ氏はHDMI出力について「HDMIを使った特許申請中の技術によって、一切遅延がないフレーム生成が可能になっています。PCやエミュレーションでのプレイでは、どうしてもフレームバッファが発生してしまいますが、それがない状態でプレイできるというのが『NEOGEO AES+』の大きな強みだと思います」と述べている。

フレームバッファを持たないぶん、NEOGEO AES+は当時のNEOGEO実機と同じ経路で画面に信号を出している。 ここまでが「遅延なく動く」の中身になる。では、この徹底した再現は、遅延以外のどこまで及んでいるのだろうか。

当時の弱点まで再現される

取材した記者は「『メタルスラッグ』の処理落ちする部分が再現されていることに気づいて驚きました」と、試遊で気づいたことをジョーンズ氏に投げかけている。処理落ちとは、画面に敵や爆発などが増えすぎたとき、当時のNEOGEOの性能が追いつかず動きが遅くなる現象で、90年代のアーケードゲームではよく見られた仕様だ。

自分は最初、処理落ちまで作り込んだ演出だろうと思っていた。だが違った。「ASICチップによって当時と全く同じCPUやビデオ機能を提供しているので、意図的にそこを処理落ちさせたのではなく、『当時のまま』が再現されていると思ってほしいです」とジョーンズ氏は答えている。当時と同じ回路を作った結果、直そうとしなければ当時の弱点までそのまま残る、ということだ。復刻ハードは当時の弱点を「直す」方向で改善されることが多いが、NEOGEO AES+は直さないことを選んでいる。

当時になかった機能も足されている

再現に徹する一方で、当時にはなかった機能も加わっている。

  • リージョン選択機能。地域ごとの表現差を選べる。ジョーンズ氏は「日本のリージョンだと血の表現などがそのままですが、西洋版になると血がなくなったりします」と説明している
  • 背面のディップスイッチで、解像度(1080p/720p)、HDMIとAV出力の切り替え、オーバークロックの設定ができる
  • 別売のメモリーカードは、本体保存用が2KBから16KBへ増量され、ハイスコア専用にもう1つ16KBが用意された。当時のNEOGEOにはハイスコアを保存する仕組みがなく、新しくできるようになったことになる
  • 背面AV出力はオリジナルのモノラルからステレオへ対応した

収録タイトルはメタルスラッグやザ・キング・オブ・ファイターズ2002など10本を予定し、TGS2026では新たに「ゼロウィング」の移植追加も発表された。ライセンス管理元のTATSUJINが同じグループ企業だったことが決め手だったという。

いつ・いくらで買えるか

NEOGEO AES+は2026年4月17日に発表され、同日から予約を受け付けている。当初の発売予定日は2026年11月12日だった。

しかし2026年9月11日、PLAION REPLAIは発売日を2027年9月16日へ延期すると発表した。延期の理由を読んで、自分は少し意外に思った。てっきり設計上のトラブルかと思っていたが、違った。ファミ通が引用したプレスリリースには「AIインフラへの大規模投資を背景とした世界的なメモリチップ需要の急増による部品供給不足」とある。データセンター向けのAI半導体需要と、90年代ゲーム機の復刻という一見遠い話が、同じ部品供給網でつながっていた。すでに入っている予約はそのまま有効で、価格(32,800円)も変わらず、初回生産分には早期サポーター特典が付く。

価格はエディションによって異なる。

エディション価格(税込)主な同梱物
NEOGEO AES+32,800円本体、有線アーケードスティック、HDMIケーブル、電源アダプター
Anniversary Edition49,800円上記に加え、ワイヤレスアーケードスティック、メタルスラッグのカートリッジ、メモリーカード(白色)
Ultimate Edition150,000円有線・ワイヤレス両方のアーケードスティック、ワイヤレスゲームパッド、収録予定10本すべてのカートリッジ、ゲームラック。工場番号付きの少数限定生産

出典はPLAION REPLAI公式サイトの各商品ページで、価格はいずれも税込表示を2026年9月23日時点で確認した。Ultimate Editionは同社が「最も完全かつ限定的な集大成」と位置づける最上位モデルになる。

購入はAmazon、楽天、DMM.com、Yahoo!などで予約できる。日本を含む全世界での発売が予定されている。

向き不向きは次のように分かれる。

  • 向く人: 当時のカートリッジ資産を活かしたい人、HDMI環境でも当時の挙動そのままに遊びたい人
  • 向かない人: 今すぐ手元で遊びたい人(発売まで1年以上待つ必要がある)
  • 買う前に確認したい点: 処理落ちのような当時の弱点も直っていないこと。予約は現在も受付中だが、届くのは2027年9月16日以降になること

まとめ

  • NEOGEO AES+は、エミュレーションではなく当時の回路を再現した内製ASICチップ(4種類、開発に約18カ月)を新規に作ることで、HDMI出力でもフレームバッファによる遅延がない設計にした
  • 徹底した再現は弱点にも及び、『メタルスラッグ』の処理落ちのような当時の仕様も、意図的な演出ではなく回路が同じであることの結果としてそのまま再現される
  • リージョン選択、ディップスイッチでのオーバークロック設定、16KBのハイスコア保存用メモリーカードなど、当時になかった機能も加わっている
  • 発売は当初の2026年11月12日から2027年9月16日へ延期された。理由はAIインフラ向け投資によるメモリチップ不足で、価格(32,800円から)や既存の予約は変わらない

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