ClaudeやGPTの利用プランを見直していたら、聞き慣れない名前が急に目に飛び込んできた。「サカナAIの『Sakana Fugu』、AI性能再び世界最高水準」。2026年9月11日、サカナAIは新型AI「Fugu Ultra v2」を発表し、日本経済新聞などがこう報じた。日本発のAIが世界のトップ水準にあるなら、乗り換えの候補になる。公式発表を読むと、Fuguは複数のAIを束ねて動かす仕組みで、最新版では束ねる相手をオープンウェイトモデル中心に切り替えていた。そのうえで、図表を読み取るベンチマークでAnthropicの主力モデルを上回る48.3点を発表している。何が変わったのかを公式ブログから見ていく。
Fuguは複数のAIを束ねる仕組み
サカナAIが「世界最高水準」の根拠として挙げたFuguは、GPT・Claude・Geminiなど複数のAIを、要求ごとに使い分けて回答を組み立てる仕組みだ。公式サイトはこの仕組みの中核を「Conductor(指揮者)」と呼ぶ。「強化学習によって自然言語での連携戦略を発見するよう訓練されている」とし、多様なAI群が単独のモデルより高い性能を出せるよう、エージェント間のやり取りとプロンプトを設計する役割だと説明する(Sakana Fugu公式)。
サカナAI自身は、この発想を絵本『スイミー』の小さな魚の群れになぞらえている。1匹1匹は非力でも、群れで大きな魚の形を作れば、単独では敵わない相手にも対抗できるという例えだ(ITmedia)。半年余りで、束ねる規模と方向性は次のように変わってきた(Sakana AI公式ブログ)。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年4月 | ベータ版として登場。複数AIを束ねる方式そのものを試す段階 |
| 2026年6月 | 「Fugu Ultra」として一般提供開始。Fable 5・Mythos Previewは「一般提供前」を理由に未使用 |
| 2026年9月11日 | コスト重視の「Fugu Max」と性能重視の「Fugu Ultra v2」に分岐 |
では最新版は、どんなAIを束ねているのか。
束ねる相手をオープンモデル中心に
公式ブログによると、Fugu Ultra v2はオープンウェイトモデルや特定用途向けモデルを中心に、これまでで最大規模のプールを組んだ。NVIDIAとの提携で加わった「Nemotron」ファミリーの名も挙がっている(Sakana AI公式ブログ)。
Anthropicの現行の主力モデルであるFable 5とFable 5.1、OpenAIのGPT-6 Astraは、このプールに入れていない。公式ブログは「Fugu Ultra v2の学習データの締め切りは2026年8月28日。Fable 5、Fable 5.1、GPT-6-Astraは、Fugu-Ultra v2のモデルプールに含まれていない」と明記し、その狙いを「個々の独占的な最先端モデルに頼らずに最高水準の出力を実現するため」と説明している(同上)。6月の初代Fugu Ultraでは、Fable 5と当時のMythos Previewを「一般提供されていないため」使っていなかった(Sakana AI公式、6月)。9月の版では、特定の独占モデルに頼らない構成そのものを方針として打ち出した形だ。
この顔ぶれの群れが、どこまでの成績を出したのか。
比較の土台は第三者のベンチマーク
サカナAIが根拠に挙げるのは「Chartography」というベンチマークだ。決算グラフやローソク足チャート、等高線図など、専門家が実務で読む図表をAIがどこまで正確に読み取れるかを試す(Surge AI公式)。運営するのは、AI評価用のデータセットを専門に作るSurge AIで、サカナAIとは別の第三者にあたる。
公式ブログはこのベンチマークで「Fugu Ultra v2は48.3点で、Opus 5の27.3点、Fable 5の29.5点を上回った」と発表した(Sakana AI公式ブログ)。数字だけ見れば、Fuguが2つの主力モデルを大きく引き離している。
3本の棒の長さの差が、そのままChartographyの得点差になる。濃い棒のFugu Ultra v2はサカナAI自身の発表値だ。残る2本、Fable 5とOpus 5は後述のとおりSurge AIの公開リーダーボードの値と一致し、独立に確認できた数字だ(Sakana AI公式ブログ、Surge AI)。この2つの数字がどこから来たのかを見ていく。
相手側の数字は公開記録と一致
Surge AIはChartographyの結果を、モデルごとのリーダーボードとして自社サイトで公開している。実際に開いて確かめると、「Claude Opus 5 (Adaptive/Max)」の行に27.3%、「Claude Fable 5 (Adaptive/High)」の行に29.5%とある。サカナAIが公式ブログで引用した数字と、小数点まで一致した。Surge AIという第三者が測って公開している値だ。
同じリーダーボードには、Fable 5をより高い「Adaptive/Max」設定で測った34.8%という記録もある。この最高値と比べても、Fugu Ultra v2の48.3%が上回る(Surge AI)。なお48.3%はサカナAIの発表値で、今回確認した時点では、Surge AIのリーダーボードにもArtificial Analysisのモデル一覧にもFugu系のモデルは載っていなかった(Artificial Analysis)。
試すなら価格と提供地域を確認
Fugu Ultra v2の料金は、入力100万トークンあたり5ドル、出力30ドルだ。27万2千トークンを超える分は、それぞれ10ドル・45ドルになる。EU/EEA地域では現時点で利用できないと公式に明記されている(Sakana AI公式ブログ)。束ねる相手の顔ぶれは版ごとに変わってきたので、使い始めるときは、その版がどのモデル群で動いているかも公式ブログで見ておくと、手元のClaudeやGPTとの使い分けを考えやすい。
まとめ
サカナAIの「Fugu Ultra v2」は、複数のAIを組み合わせて動かすFuguの最新版だ。2026年9月11日の発表で、束ねる相手をオープンウェイトモデルや特定用途向けモデル、NVIDIAのNemotronなどを中心とした、これまでで最大規模のプールに切り替えた。Claude Fable 5・Fable 5.1・GPT-6 Astraに頼らない構成だ。図表読解のベンチマークChartographyでは48.3点と発表し、比較に使ったFable 5の29.5点とOpus 5の27.3点は、第三者Surge AIの公開値と一致した。料金は入力100万トークンあたり5ドル・出力30ドルで、独占的な最先端モデルに頼らない群れがどこまで使えるかを、手元で試せる。
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