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マイナンバーカードの電子証明書は、窓口に行けばあと5年使える

2026年度は電子証明書だけで約1,430万件が更新のタイミングを迎える。手数料は無料で、市区町村窓口へ一度行けば新しい5年が始まる。カードはスマホ申請できるのに証明書だけ窓口が必須な理由も確かめた。

初老の男性が無地の赤いプラスチックカードを片手に持ち、もう片方の手でスマートフォンを操作している写真

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by SHVETS production on Pexels

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見慣れない封筒がポストに入っていた。差出人は「地方公共団体情報システム機構」、いわゆるJ-LIS。中身は「マイナンバーカード・電子証明書有効期限通知書」だった――今年、こういう封筒を受け取る人が急に増えている。政府広報オンラインが2026年6月に公開した記事によると、今年度(令和8年度)だけでマイナンバーカードは約590万件が更新の対象になる。カードの中の電子証明書に限れば、約1,430万件が更新のタイミングを迎える見込みだという。

結論から言うと、やることは難しくない。電子証明書の更新は手数料無料で、市区町村の窓口へ一度行けば、その場から新しい5年が始まる。ただし「一度は窓口に行く」という部分だけは、スマホでマイナンバーカードを使っている人でも省略できない。まずこの通知書が何を知らせているのかから見ていく。

カードと電子証明書は別の期限を持つ

マイナンバーカードには、実は2つの有効期限が設定されている。政府広報オンラインの説明によれば、カード本体の有効期限は「発行日から10回目の誕生日」だ。発行時に18歳未満だった人は5回目の誕生日が期限になる(令和4年4月1日より前に申請した人は「18歳未満」を「20歳未満」と読み替える)。一方、カードのICチップに記録されている電子証明書は、年齢にかかわらず「発行日から5回目の誕生日」までしか有効ではない。

同じ記事にある例がわかりやすい。誕生日が10月10日の人が令和2年(2020年)5月15日にカードを発行したとする。カード自体の期限は、10回目の誕生日にあたる令和11年(2029年)10月10日になる。この人の電子証明書は、その5年前、2024年10月10日で切れている計算だ。つまり「カードの有効期限」を確認しただけでは、電子証明書のほうはとっくに切れている、ということが起こりうる。

有効期限が近づくと、期限の2〜3か月前を目安にJ-LISから前述の通知書が届く。ただし西東京市の案内にあるとおり、転居時の転送設定などによっては届かないこともある。通知を待たずとも、カード表面の印字や、パソコン・スマホからマイナポータルにログインすれば自分で期限を確認できる。次に気になるのは、この2つのうちどちらが切れると、実際に何が困るのかだろう。

期限切れで止まるものは証明書に多い

カード本体が切れると、本人確認書類として使えなくなる(更新の交付を受ける際など一部の例外を除く)。一方、電子証明書が切れたときの影響はもっと広い。

  • マイナポータルへのログインができなくなる
  • 証明書のコンビニ交付が使えなくなる
  • e-Tax等の電子申請が使えなくなる
  • マイナ保険証としての利用は、電子証明書が切れてから3か月間だけ猶予がある。その間に更新しなければ、やはり使えなくなる

もう1つ見落としやすいのが、スマホにマイナンバーカード機能を載せている場合だ。政府広報オンラインによると、スマホに搭載した電子証明書の有効期限は、発行申請に使った物理カードの電子証明書の期限とまったく同じになる。物理カード側の証明書が失効すれば、スマホに載せた証明書も連動して失効する。スマホでコンビニ交付やアプリのログインを済ませていると、もうカードを気にしなくていいと思いがちだが、期限の起点は今もカード側の証明書にある。ここまでで「何が切れるとどうなるか」は見えた。次は、その更新をどこまでスマホで済ませられるかになる。

スマホで終わるのはカードの申請だけ

更新の手数料はどちらも無料だ。ここで手続きの中身を分けて見る必要がある。マイナンバーカード総合サイトによれば、次のように更新経路が分かれている。

更新の対象申請書IDありの場合必須の窓口来庁
カード本体QRコードを使ったスマホ・証明写真機からのオンライン申請が可能新しいカードの受け取り時のみ
電子証明書オンライン申請の仕組みなし必ず窓口。本人が暗証番号を入力

カード本体の更新申請自体は、有効期限通知書に印字された申請書IDとQRコードがあれば、スマホや証明写真機からオンラインで済ませられる。一方、電子証明書の更新はこの経路の対象にならない。本人が住民登録のある市区町村の窓口へ行き、その場で暗証番号を入力しないと更新できない。代理人が新しいカードを受け取ることはできても、電子証明書の暗証番号入力だけは原則として本人が窓口で行う必要がある。代理人による手続きには、照会書兼回答書などの別の手順が用意されている。

窓口へ持っていくものも、更新の対象によって変わる。

  • 電子証明書の更新: 有効期間内のマイナンバーカード。暗証番号を覚えていない場合は、窓口で再設定の手続きから始めることになる
  • カード本体の更新: 有効期限通知書、または本人確認書類

行政のオンライン化が進んでいると思っていた自分は、ここで少し拍子抜けした。カードの再交付申請はスマホで完結するのに、なぜ電子証明書の更新だけは例外なく窓口を経由させられるのか。次に気になるのは、まさにこの理由だ。

電子証明書だけ窓口が必須なのはなぜか

電子証明書は、カードのICチップに格納された「鍵」のようなものだと考えると分かりやすい。この鍵を有効化する条件そのものが、「本人が暗証番号をその場で入力する」という行為に設定されている。暗証番号の入力は、電子証明書という鍵を渡す相手が確かに本人であることを、その場で確かめるための手続きにあたる。書類の受け渡しを郵送やスマホの画面上で完結させると、この条件を満たせない。だからカードの再交付申請とは違い、電子証明書の更新だけはオンラインの経路が用意されていない。

言い換えると、窓口へ行かされているのは手続きが省略できていないからではない。電子証明書という仕組みの効力発生条件そのものが、「窓口の専用端末を介した暗証番号入力」に置かれているからだ。この条件を変えない限り、電子証明書の更新がスマホだけで完結する日は来ない。

2026年度は更新の波が重なっている

なぜ今年、これほど多くの通知書が届いているのか。ここは政府の公式資料には書かれていない、自分なりの見立てになる。マイナンバーカードの交付は2016年1月に始まったが、普及が本格化したのはマイナポイント事業がきっかけだ。総務省によると第1弾は2020年9月から2021年12月まで実施された。第2弾は2022年1月から本格実施され、健康保険証利用登録や公金受取口座登録によるポイント付与は同年6月30日に始まった。カードの申請期限は、その後2023年2月まで延長されている。

この時期に大量発行されたカードの電子証明書(5年)は、2025年から2027年にかけて期限を迎える。2016年前後に発行された最初期のカード本体(10年)も、ちょうど2026年前後に期限を迎える時期にあたる。2026年度の約1,430万件という数字は、この2つの波が重なる時期の一部だと考えられる。カードとは別に、電子証明書という短い周期の期限があることを知らずに過ごしている人ほど、次の通知書に驚くことになりそうだ。

以下のグラフは、2026年度に見込まれる更新件数を表している。

050010001500万件マイナンバーカード本体: 590万件電子証明書: 1,430万件590万件1,430万件マイナンバーカード本体電子証明書

電子証明書の更新件数は、カード本体のおよそ2.4倍にのぼる。カードの期限が10年、証明書の期限が5年である以上、同じ枚数のカードでも証明書のほうが倍近い頻度で更新の対象になる計算と符合する。出典は総務省「全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議資料」を政府広報室がまとめたものだ。

まとめ

マイナンバーカードと電子証明書は、別々の有効期限を持つ。カード本体は発行から10回目(18歳未満は5回目)の誕生日まで、電子証明書は年齢を問わず5回目の誕生日までだ。期限が切れると、カードは本人確認書類として、電子証明書はマイナポータルのログインやコンビニ交付、e-Taxなどの手段として使えなくなる。更新の手数料はどちらも無料だ。ただし、カード本体の再交付申請はスマホから完結できる場合があるのに対し、電子証明書の更新だけは必ず一度、市区町村窓口へ行って暗証番号を入力する必要がある。これは電子証明書という仕組みが、暗証番号入力というその場の本人確認を効力発生の条件にしているためだ。

2026年度は、2016年前後の初期発行分と2020〜2022年のマイナポイント時期の発行分が重なり、更新の波が大きくなっている年にあたる。有効期限通知書が届いたら、後回しにせず、まず自分のカードと電子証明書、どちらの期限が近いのかを確認するところから始めるとよさそうだ。

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