フリーランスや自営業で国民年金を自分で納めている人が出産を迎えると、出産前後の4か月間は保険料が免除される。「産前産後免除」という制度で、2019年から続いている。この免除が終わったとき、「また毎月17,920円を払うのか」と身構えた人は多いと思う。
実はその先にも免除が続く。2026年10月1日、子が1歳になるまでの国民年金保険料を免除する「育児免除制度」が始まった。同じ日からマイナポータルでの電子申請も始まり、市区町村の窓口へ行かなくてもスマートフォンだけで申請できる。免除されている月は保険料を納めていないのに、将来の年金額にはどう響くのか。母と父で扱いが同じなのかも気になるところだ。
毎月17,920円を1年近く払わずに済むとなれば額としても小さくない。まず気になるのは、自分がその対象に入るのかどうかだ。
育児免除は何歳まで続くか
対象になるのは、国民年金第1号被保険者として子を養育する実父母・養父母だ。
- 対象: 自営業・農業・学生・無職などで国民年金を自分で納めている第1号被保険者のうち、子と親子関係があり、同一住所で養育している実父母・養父母
- 対象外: 会社員や公務員として厚生年金に入っている第2号被保険者、その配偶者である第3号被保険者
- 所得要件: なし。収入の多寡にかかわらず申請できる
- 適用のされ方: 自動では免除にならない。対象者本人が届出(申請)をして初めて反映される
免除される期間は、子が1歳になるまでの最大12か月間。令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円なので、12か月分なら215,040円が免除される計算になる。根拠になっているのは子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)による国民年金法の改正だ。施行日は2026年10月1日と定められている。ここまでは分かりやすいが、実際の免除期間は母と父でそろっていない。
母と父で期間が違う理由
実母の免除期間は、産前産後免除に続く9か月間。実父・養父母は、子を養育することになった月から1歳の誕生日の前月までの最大12か月間になる。数字だけを見ると母のほうが短く、最初はこの9か月という数字を見て、母のほうが優遇が薄いのかと取り違えそうになった。
差が出る理由は、母には産前産後免除という別枠が既にあることにある。単胎なら出産予定日または出産日の前月から4か月間、多胎(双子以上)なら3か月前から6か月間、保険料がもともと免除されている。育児免除の9か月はその直後から始まる。
母は産前産後免除と合わせると通算13か月分、17,920円換算で232,960円が免除される。父・養父母にはこの前提がないため、出産(養育開始)の月からそのまま12か月が育児免除にあたる。母のほうが短く見えた9か月は、すでに別枠で免除されていた4か月を差し引いた残りだった。
マイナポータルでの申請手順
- マイナポータルのトップ画面で「年金」を選ぶ
- 「国民年金に加入する方・加入中の方の手続き」を選ぶ
- 「育児期間における納付の免除」を選ぶ
- 券面事項入力補助用パスワード(数字4桁)を入力し、スマートフォンの裏側にマイナンバーカードを当てて読み取る
- 画面の案内に従って申請内容を入力し、個人情報の取扱いに同意して申請する
用意するものは3つだけで、紙の届書を揃える手間がかからない。
- マイナンバーカード
- 利用者証明用パスワード(数字4桁)
- 券面事項入力補助用パスワード(数字4桁)
申請内容は公簿で確認するため、戸籍謄本や住民票などの添付書類は原則いらない。紙の届書を市区町村の窓口へ提出するか郵送する方法も残っているが、その場合は本人確認書類の写しを添える必要がある。申請後の状況や審査結果は、マイナポータルの申請状況照会ページで確認できる。
免除でも年金は減らない
免除と聞くと、将来の年金が減る心配が先に立つ。実際、所得を理由にした通常の免除は反映のされ方が一律ではない。
| 免除の種類 | 老齢基礎年金への反映 |
|---|---|
| 全額免除 | 満額の2分の1 |
| 4分の3免除 | 満額の8分の5 |
| 半額免除 | 満額の8分の6 |
| 4分の1免除 | 満額の8分の7 |
| 育児免除・産前産後免除 | 満額(全額納付と同じ扱い) |
表の差から分かるのは、「免除」という同じ言葉でも、将来の年金額への効き方は制度によってまったく違うということだ。所得を理由にした全額免除は、保険料を1円も払っていない以上、年金額も満額の半分にとどまる。これに対し育児免除は、保険料を納めていない月でも、納付したものとして老齢基礎年金に全額反映される。産前産後免除と同じ計算のされ方で、所得を理由にした免除とは仕組みが違う。
215,040円を免除されても、年金の計算上は「払った月」として扱われる。母の場合は、産前産後免除と合わせた通算13か月・232,960円のすべてが、同じように満額納付した扱いになる。ここまでは、これから出産する人を前提にした話だ。すでに子どもがいて、制度の開始を知らなかった人はどうなるのか。
施行前に生まれた子は対象か
施行日の時点で子が1歳未満なら、対象になる。制度は2026年10月1日に始まったので、免除されるのはこの日以降の月分だけだ。公式ページの例では、出産日が令和8年1月1日の場合、本来の育児免除期間(9か月)のうち免除されるのは令和8年10月から12月までの3か月間になる。すでに子どもがいて1歳の誕生日が近い人も、10月以降の残り月数分は申請する価値がある。
まとめ
国民年金第1号被保険者として子を育てている人は、2026年10月から、子が1歳になるまでの保険料をマイナポータルからスマホだけで免除申請できる。免除期間は実母が産前産後免除に続く9か月間、実父・養父母は養育開始から最大12か月間で、所得要件はない。免除された月は保険料を納めていなくても、老齢基礎年金には全額が反映される。施行日より前に生まれた子でも、2026年10月以降の月分は対象になる。産前産後免除の通知を見てほっとしたら、その続きとして育児免除の申請も忘れずに済ませられる。
コメント
気づきや感想をどうぞ記事への補足や、読んで考えたことをお寄せください。個人情報や、他の人を傷つける内容の投稿はお控えください。
投稿にはGoogleログインが必要です。
Googleでログイン投稿にはGoogleアカウントの表示名が公開されます。メールアドレスは取得・公開しません。
コメントを読み込んでいます…