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後期高齢者の資格確認書、マイナ保険証の利用実績で届く書類が変わった

2026年8月から、後期高齢者医療の資格確認書は一律配布をやめた。マイナ保険証を直近1年に6回以上使っている人には「資格情報のお知らせ」が届くが、この基準を満たす人は75〜84歳でも4割程度にとどまる。

後期高齢の女性が自宅の椅子に座り、手元の書類を真剣な表情で読んでいる写真

イメージ写真 記事の内容を撮影したものではありません。Photo by SHVETS production on Pexels

後期高齢者医療の封筒を開けたら、去年までと違う紙が入っていた──そんな人が今年は珍しくない。中身は「資格確認書」ではなく、初めて見る「資格情報のお知らせ」という書類だ。2026年8月から、75歳以上が入る後期高齢者医療制度で、資格確認書を届ける基準が変わった。マイナ保険証を直近1年間に6回以上使っている84歳以下の人には、資格確認書の代わりにこの「資格情報のお知らせ」が届くようになった。

ただし、この基準を満たしている人は見た目ほど多くない。厚生労働省の資料によれば、該当する年齢層でも4割程度にとどまる。何が変わり、誰が対象になり、残りの人たちはどうなるのかを順に見ていく。

一律配布から条件付きへ

資格確認書は、マイナ保険証を持たない人のための書類だ。マイナンバーカードを健康保険証として使えない、または使わない人に、申請なしで保険者から交付される。本人の申請を待たずに保険者側の権限で交付することを、制度上「職権交付」と呼ぶ。後期高齢者医療制度では、厚生労働省保険局の資料によると、2026年7月末までこの資格確認書を加入者全員に一律で職権交付する運用が続いていた。理由は「新しい機器の取扱いに不慣れである等」だという。マイナ保険証の保有状況や利用状況は関係なく、すでにマイナ保険証に切り替えて使っていても、資格確認書はとりあえず全員の手元に届いていたことになる。

2026年8月以降、この一律配布が見直された。85歳以上は従来どおり全員に資格確認書が届くが、84歳以下は条件付きになった。千葉県後期高齢者医療広域連合の案内によれば、次の2つをどちらも満たす人には資格確認書の代わりに「資格情報のお知らせ」が交付される。

  • マイナ保険証を直近1年間に6回以上、医療機関や薬局の窓口で実際に使っている
  • そのうち直近3か月以内にも、マイナ保険証を使った実績がある

この条件に当てはまらない84歳以下の人には、引き続き資格確認書が職権交付される。資格確認書が欲しい人は、条件を満たしていても申請すれば交付を受けられる。

条件が「6回以上」という回数と「直近3か月」という期間の両方を求めているのは、過去に使っていた実績だけでなく、今もマイナ保険証をスムーズに使えているかを見ているからだろう。数年前に数回使っただけで、その後は使わなくなった人まで資格情報のお知らせの対象にしてしまうと、いざ医療機関の窓口でマイナ保険証がうまく通らなかったときに困るのは本人になる。ここは厚労省の資料に明記された理由ではなく、2つの条件が並んでいる以上はそう読める、という自分の見立てだ。ここで気になるのが、届くようになった「資格情報のお知らせ」が、資格確認書とどう違うのかだ。

資格情報のお知らせは別物

見た目はよく似ている。全国保険医団体連合会が報告した医療現場の事例では、「紙質もサイズも被保険者番号などの情報も全く同じ」で、患者自身が2つの書類を区別できないケースが起きている。資格情報のお知らせだけを保険証のつもりで持参し、マイナンバーカードを忘れて来院するとどうなるか。その場で保険資格を確認できず、いったん全額(10割)を自己負担することになりかねない。

この見分けにくさの裏には、制度上の決定的な違いがある。資格確認書は、従来の健康保険証と同じように、それ単体で保険資格を証明できる書類だ。一方、資格情報のお知らせは、マイナンバーカードとセットで使うことが前提になっている。厚生労働省のリーフレットが案内する受診方法も、マイナ保険証を持っている人は「マイナ保険証」を、持っていない人は「資格確認書」を提示する、という二択が基本だ。資格情報のお知らせは、その「マイナ保険証を持っている人」が自分の保険者情報を確認するための補助書類であり、単独では資格確認の役に立たない。

つまり、資格情報のお知らせが届いたこと自体は「マイナ保険証をちゃんと使っている」ことの裏付けであって、紙だけ見せれば受診できる資格確認書の代わりではない。財布に入れるなら、マイナンバーカードと必ず一緒に、ということになる。ここまでで、届く書類が変わった仕組みは分かった。次に気になるのは、実際にどれだけの人がこの新しい基準を満たしているかだ。

基準を満たす人は半数未満

自分は当初、マイナ保険証への切り替えがここまで報じられている以上、資格確認書が届かなくなる人のほうがもう多数派になっているだろうと予想していた。だが同じ厚労省資料にある実績値を見ると、予想とは違う数字が出てくる。令和6年9月から令和7年8月までの1年間で、後期高齢者医療制度の加入者のうちマイナ保険証を6回以上利用した人の割合は、年齢層が上がるほど下がっていく。

020406080100%75〜79歳: 43%80〜84歳: 42%85〜89歳: 35%90歳以上: 22%43%42%35%22%半数75〜79歳80〜84歳85〜89歳90歳以上

最も割合が高い75〜79歳でも43%で、半数に届かない。資格情報のお知らせへの切り替え対象になる84歳以下に絞っても、6割近くは今年も変わらず資格確認書を受け取っている計算になる。85歳以上は制度上もともと全員が資格確認書の対象なので、新しい基準の恩恵そのものが及ばない。見出しだけを追うと「マイナ保険証の人は資格確認書が要らなくなった」という話に聞こえるが、実態はまだ、後期高齢者の大半にとって届く書類は去年までと変わっていない。では、基準を満たせずマイナ保険証をうまく使えない人や、85歳以上で一律交付の対象になる人は、このままで困らないのだろうか。

それでも資格確認書を選べる人もいる

基準を満たしてもマイナ保険証をうまく扱えない人には、別の道も用意されている。厚労省のリーフレットによれば、高齢や障害などの理由でマイナンバーカードでの受診が難しい人は、申請することで資格確認書の交付を受けられる。しかも「更新時の申請は不要」とされているため、一度申請すれば毎年手続きをし直す必要はない。病状の変化で顔認証付きカードリーダーをうまく使えなくなった場合も、同じように資格確認書に切り替えられ、親族などの法定代理人や介助者による代理申請も可能だ。

85歳以上はこうした申請を経ずに、これまでどおり資格確認書が自動的に届く。「新しい機器の取扱いに不慣れである」という理由づけのとおり、年齢が上がるほどマイナ保険証の利用率そのものも下がる傾向がある。厚労省資料によれば、令和7年10月時点の利用率(オンライン資格確認件数ベース)は70〜74歳で48%、75〜79歳で37%、80〜84歳で33%、85歳以上で24%だ。高齢になるほど低くなっている。

利用実績で書類を仕分ける基準が84歳以下に限られているのは、この利用率の低さを踏まえた結果だと読める。千葉県後期高齢者医療広域連合の案内では、資格情報のお知らせが届いた人が資格確認書への切り替えを希望する場合、申請先は市区町村の窓口になるとしている。

まとめ

後期高齢者医療制度では、2026年8月から資格確認書の一律配布が見直された。85歳以上は変わらず全員に資格確認書が届く。84歳以下は、マイナ保険証を直近1年に6回以上・直近3か月以内にも使っている人に限り、資格確認書の代わりに「資格情報のお知らせ」が届くようになった。この書類は資格確認書と見た目が似ているが、単独では保険資格を証明できず、マイナンバーカードと組み合わせて使う必要がある。

そして、基準を満たす人は75〜79歳でも43%、80〜84歳で42%にとどまり、半数に届かない。自分や家族が後期高齢者医療の対象なら、届いた書類が資格確認書か資格情報のお知らせかをまず確かめたい。後者であれば、マイナンバーカードと一緒に携帯する対応を覚えておくとよさそうだ。マイナ保険証をうまく使えない事情がある場合は、資格確認書への切り替えを申請できることも、合わせて知っておきたい。

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